第41幕
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「ちょっとここ通せヨ!」
「いやいや、ダメだから!通せないから!」
「いつも通ってるアル!」
「それでもダメだから!」
「お願いします!海さんに話があるんです!」
ブーツに足を滑り込ませようとした時に聞こえた声。すぐそこの門前に神楽と新八が海に会わせろと隊士に詰め寄っているのだろう。
騒ぐ二人の合間から聞こえた声に顔を上げた。
「ふ、二人とも!そんなに乱暴したら捕まっちゃいますよ!」
「こんなハゲなんか捕まらないネ!」
「いだだだだだだ!ハゲる!髪そんな引っ張らないで!ハゲる!!」
「か、神楽ちゃん!ちょっとそれはやりすぎじゃない?!」
「髪なんてなくても生きていけるヨ!むしろスッキリするネ!」
「ぎゃああああああ!!髪がァァァ!!」
ブーツを履いて慌てて外へと出れば、ひらひらと風に舞って数本の髪が地に落ちた。隊士が地面に四つん這いになって散っていった髪を見て嘆く。その姿を見て腕を組み、ふんっと鼻を鳴らす神楽。
「お前ら!何しにきやがった!!」
「銀ちゃん!」
「銀さんこそなんでここに居るんですか!」
「それはこっちのセリフだバカヤロー!」
「それは……」
眉間に皺を寄せて新八と神楽を睨むように見れば、二人は顰めっ面で言い淀む。意を決した新八が銀時を真っ直ぐと見据えて口を開いた。
「……銀さんがここにいるってことは、そういうことなんじゃないんですか?」
「どういう意味だよ」
「あの写真の男の子。どことなく……海さんに似てる気がするんです」
「他人の空似じゃねぇの?この間あっただろうが、俺によく似たクソガキが。それと同じだろう」
だから海は関係ない。早く帰るぞ、と二人の首根っこを掴んで屯所から追い返そうとしたが、神楽が納得いかないというように銀時の手から離れた。
「そんなの聞いてみなきゃ分からないネ!海に聞いて違うっていうならまた一から朔夜の兄貴探すアル!」
「だから違うって言ってんだろうが!!」
「何を根拠に違うって言ってるんですか!!」
神楽と同じように銀時の手から逃げた新八が神楽の隣に並ぶ。海に会って確認するまではここから離れないとでも言うのか。
こいつらはこんなにも人の言うことを聞かないような奴らだっただろうか。それとも、海が関わっている事だから自分が焦ってしまって、目の前の子供を言いくるめる言葉が出てこないだけなのか。
「銀さん、もう隠し事はなしにしましょうよ」
何も言わない銀時に新八が諭すように優しく声をかける。二の句を紡げない銀時に新八は確信したようだった。
「……何も知らねぇくせに」
「確かに何も知らないです。なんでそんなに銀さんが海さんを庇うのか。どうして海さんに……」
新八はそこで言葉を途切って朔夜を見る。しんみりとした雰囲気に戸惑う朔夜は新八と銀時の顔を交互に見つめていた。
「お前らには関係ないだろ」
「関係ありますよ。朔夜くんから依頼を受けてるんです。万事屋は銀さんだけじゃないんですよ?僕らだって従業員なんです。受けた依頼はきっちり果たす。それは銀さんが教えてくれたことじゃありませんか」
「んなこと教えた事はねぇ」
「そんなはずない。銀ちゃんはいつも頼まれれば必ずやり遂げるアル。どれだけ無理難題押し付けられても全部約束守ってきたヨ!だから私達も……!」
「今回の依頼は──」
『銀時』
拒否する。と続けようとした銀時の言葉を遮るように海の声が三人の間に響く。
声のした方へと振り返ると、海が苦笑いしながら立っていた。
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