第41幕
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「海がそう言うなら無理にとは言わねぇよ。この件はこっちでどうにかしておくわ」
『悪い』
「気にすんな。こうなる事はなんとなく分かってたからよ。俺の方こそ悪かった。嫌な思いさせちまって」
縁側に突っ立ったままの海。申し訳なさそうに眉を下げて俯く姿がとても弱々しく、今にも消えてしまいそうな儚さ。
腰を上げて海の前に立ち、俯いている頭へと手を伸ばしては優しく撫でた。
ゆっくりと顔が上がり視線が交わる。縋るように自分を見る海の瞳。
「ごめんな、海」
一言謝れば、海はゆるゆると首を横に振った。
『知ってたんだよ』
「何を?」
『アイツが……もう一人子供を作ってたこと』
"アイツ"と忌々しげに呟いた海。自分の実の父親のことをよく思っていない海は西ノ宮の事を父と呼ぶことは無い。
あの男を思い浮かべているのか、その表情は固く、恐れを感じているように見えた。
「海」
『銀時……』
「大丈夫だから。もうこの話は終わり、な?」
頭を撫でていた手を海の背へと回しやんわりと抱きしめる。また近いと殴られるだろうかと思っていたが、銀時の予想に反して痛みはやって来ることはなかった。
その代わりに銀時の背に回された腕。両手でしっかりと銀時の服を掴み抱きついてくる。その身体を離さないようにと銀時も腕に力を込めた。
「海さーん!お客さんが来てるんですけど……って……え?」
もう少しこのまま、と願っていた銀時を邪魔するように山崎が海を呼びつける。抱き合っている自分たちを見て目を瞬かせ、顔を赤くしながら山崎は「すみません!すみません!!」と頭を下げた。
「ちょっと、邪魔しないでくんない?空気読めよバカヤロー」
腕の中にいる海へと目を落とせば、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに悶えていた。そんな海を山崎から隠すように身を動かす。
「で、でも……屯所の前に神楽ちゃんと新八くんが来てるんですけど……」
その言葉に銀時はピシッと固まる。海を抱く腕に力を込めて渋い顔を浮かべた。
「あいつら……!」
もしかして自分の後をつけてきたのか。朔夜の依頼を完遂させた方がいいのではないかと言っていた二人事だ。勝手に動いていたのだろう。
一人、万事屋を出ていった銀時の後をこっそりと追いかけてきてここにたどり着いた。銀時がここに来る理由なんて一つしかない。
「海、あいつら追い返してくるから。絶対に部屋から出てくるな。いいな?」
『どういう……ことだよ』
困惑する海を部屋へと戻し、銀時は一人神楽たちの元へ行こうと踵を返す。
「言っただろ?依頼されてるって。神楽たちもそれ知ってんだよ。あのバカども俺を追ってきたんだろ」
もしかしたら神楽たちと共に弟もいるかもしれないと告げれば、海は怯えるような表情をした。
「心配すんな。俺がちゃんと追い返すから」
だから部屋にいろ。と残して、銀時は襖を閉めて神楽たちの元へと走った。
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