第39幕
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「銀さん?」
思考の海に沈んでいた銀時は新八に声をかけられた事によって浮上した。あの頃の懐かしさに口元が緩んでしまうのを抑えつつ、もう一度写真へと目を落とす。
何度見ても変わらないそれに銀時は苦虫を噛み潰したような表情をした。
「こいつは俺の方で探しておく。なんかあったら報告すっからそれまで待ってろ」
「は、はい。よろしくお願いします」
「……期待はすんなよ」
「はい」
探すも何も相手はもう誰なのか知っている。ただ、本人に黙って言うべきことでは無い。そう思った銀時はその場では名前を出さなかった。
朔夜は俯きながらもしっかりと返事を返し、写真を銀時に渡したまま万事屋から出ていった。
「銀ちゃん、コイツどうやって探すアルカ?」
「西ノ宮の血縁で探してみますか?」
写真をじっと見つめて唸る二人に銀時はどう説明しようかと苦慮した。この少年を知っている。なんなら二人もだいぶ世話になっている。そんな説明をしてしまったらきっとこの二人はすぐに勘づくだろう。
かと言って、自分一人で探すと言っても言うことをきかないだろう。勝手に探されて海に行き着かれるのが関の山。
「あー……この子供な。うん」
「どれくらい前の写真なんですかね。随分と古そうですけど」
「そりゃ二十年前だからな」
「え?」
銀時の言葉に新八がいち早く反応し目を丸くした。
「銀さん?」
「まだこの頃は天皇に仕えてた時だったか。まぁ、裏でこそこそと天人と手を組んでたみてぇだったけど」
「銀ちゃんコイツのこと知ってるアルカ!?」
「まぁな」
隠してもどうせバレる。ならば話せる範囲の事だけでも二人に伝えておいた方がいいだろう。
銀時は写真を手に取り二人の方へと写真を向ける。そして真ん中の少年を指差して一言。
「このガキは今じゃもう立派な大人だ。親のことなんざとうに忘れて自分の人生を謳歌してる。そんなやつに今更、片親繋がりの弟を会わせに行くのか?」
「でも、家族には変わりないんじゃ……」
「そいつがそう思っていなくてもか?」
確かに戸籍上では家族かもしれない。家族の縁とは切っても切れないもの。でも、海はそれを断ち切ってしまった。西ノ宮の姓をもつ海ならば父親になどいくらでも会いに行けたはず。
それなのに海は一度もそんな事をしなかった。己の家族は村塾にいた銀時達だけだと。父親と慕うのは松陽だけだと。
その言葉に銀時は寂しさを覚えたが、彼の父親が海にした事を思えば妥当な考え。
もし、海が父親に会いたいと言っていたら……銀時は全力で止めただろう。たとえ喧嘩になったとしても、海に嫌われたとしても。二度と海とこの男を会わせてはいけない。そう決めたから。
写真を懐へと納め、銀時はソファから立ち上がる。新八と神楽にこの件にはもう関わるなと注意してから万事屋を出た。
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