第38幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「皆様お待ちです。中へお入りください。」
城へと着くと案内人らしき男によって中へと通される。眼前にそびえ立つ城はまるで監獄のように見えた。たまに将軍のお巫山戯……否、護衛にと城に呼ばれることはあったけど、今のような不快感は無かったはずだ。
「どうぞ。ご無礼のないように」
「わかってらァ」
長い廊下を歩いた末に見えた部屋。そこだけは後から改修されたのか自動ドアになっていた。案内人に入るように促され、海達は戸惑いながら部屋に入る。暗い部屋の真ん中へと着くと頭上から三人を照らす光。そして海たちをを囲うように現れる柱。その柱の上には人影が見えたが、笠を被っていて顔まではわからない。ただ、相手がじっとこちらを見つめているのは感じた。
「警察官長官、松平 片栗虎。真選組局長 近藤 勲、真選組隊士、桜樹 海。参上仕りました」
「うむ。わざわざ呼びたててすまんな。よく来た。今日ここに呼んだのはそやつに用があってな」
「桜樹にですか?」
「あぁ。すまぬが、お前たちは席を外してくれぬか」
そう言って出口を指差す男。近藤と片栗虎は一瞬戸惑いの音を出し、そして躊躇いながらも聞き返した。
「失礼ですが、桜樹になんのお話でしょうか。真選組局長として部下の失態については知っておかねばなりませんので」
「聞こえなかったか?出ていけと申したぞ」
近藤の言葉に見向きもせずに柱の上に座る男は退出をすすめる。海は近藤さんの背中をぽんっと軽く叩いて退出するようにと促した。それでも近藤は不安そうな顔で海を見るだけ。
『近藤さん、俺は大丈夫だから。だから今は松平さんと外で待っててくれないか?』
「だが……!」
『松平さん頼む』
「……帰ってこいよ。待ってるからなぁ?」
『はい』
渋い顔の片栗虎は海を一瞥してから近藤を引きずるようにして部屋を出ていく。近藤は引きずられながらも、一人部屋に残される海を心配そうに見つめていた。そんな近藤へと振り返り、にこりといつもの笑みを近藤へと向ける。近藤はその姿を見て目を見開き、やはり海を一人残して行けないと手を伸ばした。
「とっつぁん!待ってくれ、やっぱり海を一人にするのは──」
松平に必死に訴えかける近藤の声は自動ドアによって遮られる。ドアが閉まる瞬間、松平も心配げな顔でこちらを見ていたのが見え、海は苦笑いを浮かべた。
.