第38幕
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真選組屯所。
かちかちと鳴る時計の針の音が静かな部屋に響く。
近藤は会議室で胡座をかき、腕を組んで座っていた。じっと一点を見つめたかと思ったら、視線をさ迷わせては頭を振る。そして言葉にならない呻きを漏らしていた。
『近藤さん。桜樹 海です』
「来たか。海、入れ」
『失礼します』
ゆっくりと襖が開けられ、隊服姿の海が姿を現した。海は促された先へと正座した。
『今日は何用ですか?』
こうして近藤に呼び出されることは稀だ。用がある時はいつも近藤が海の部屋に来る。大抵はどうでもいい内容。頼みに来るというより泣きついてきたと言った方が正しい。
だからこうして呼び出されるのは心臓に悪い。ついにバレてしまったのかと。過去に行っていたことの数々が近藤の耳に入ってしまったのではないかと思うからだ。
「城の方から海を連れてくるように言われてるんだ」
『なんでそうなった』
「それが俺にもわからないんだ。上が海を連れてこいの一点張りでな。理由を聞いても話しちゃくれねぇんだよ」
『上が、ね』
近藤の態度からして嘘をついているような感じはしない。海が呼び出された理由を本当に知らないのだろう。
「海、お前なにかしたのか?」
『いや、ここ最近は何もしてない……と思う』
「微妙な返答だな……。トシや総悟と違って海は派手なことしないからなぁ。きっと怒られるようなことじゃねぇよ」
大丈夫大丈夫と笑う近藤を後目に、海は内心焦りを見せていた。真選組として席を置いてもう何年にもなる。その間、一度も上に呼び出されたことなどない。
近藤や土方が呼び出されるならまだ分かる。彼らは真選組のトップだから。だが、自分は平隊士の身分。そんな奴が名指しで呼び出されるなんて異例だ。
だから考えられるとしたら、上層部の奴らに海の情報が流れたということ。
『(バレたか……)』
己が過去にしてきたことの一部、それか全てが上層部にバレたのかもしれない。身バレほど厄介なものはないと思い、今日まで隠し通してきたつもりだったが、ここ数ヶ月の派手な動きに目をつけられたのかもしれない。
「海?大丈夫か?」
『あ、あぁ。大丈夫。いつ行けばいいんだ?』
「明日の朝には行こうと思ってるが……本当に大丈夫か?凄い顔色してるぞ?ブルーハワイかき氷もビックリな顔色してるぞ?」
『そんなに青ざめてんのか俺』
「いや、すまん。言いすぎた」
ぺちっと顔に手を当てる。そんなに動揺してたかと近藤に問うとちょっとオーバーな言い方だったなと笑われた。
『(どうすればいい。俺の首が飛ぶくらいなら構わない。けどもし真選組に、近藤さんに非を向けられたら。真選組だけじゃない……銀時にも監視がついたら……)』
ぞわりと鳥肌が立つ。自分の行い全てで周りの人間が危ない目に合うのは避けたい。
明日は何がなんでも身の潔白を証明しなくては。そう誓って自室へと戻った。
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