第37幕
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「……ちゃんと送って行くって言ってんじゃん。あんたもしつこいねぇ」
「あいつをちゃんと連れて帰らないと俺がどやされるんでな」
万事屋のソファに腰を下ろす土方。銀時は自分のデスクの椅子へと座り、ジト目で土方を見る。神楽と海は下のお登勢の店へと夕飯を食べに行っていた。
「俺が海を帰さないとでも思ってんのかよ」
「そこまでは思ってねぇ」
「そう言ってるように聞こえるんですけど?」
「それはてめぇの勘違いだろ」
「は?そんなに睨まれてて勘違いだ?ふざけんなよ。大体、そんなこと考えてんだったらまず、海をお前らの所なんかに連れていかねぇよ」
海を高杉の元から奪還した日。病院へと行った足でそのまま真選組の屯所へと銀時は向かった。その時に海を万事屋へ連れていくことも可能だったのにそれをしなかったのだ。そんなことをすれば海が怒ると知っていたから。
「それでもてめぇは俺たちを恨んでるだろ」
「当たり前だろ。お前たちがあいつを外に出さなければこんなことにはならなかったかもしれねぇんだから」
それは嘘である。土方達が海をパトロールに行かせても行かせなくても、高杉は海を拉致していただろう。執着が強く、独占欲に塗れた男なら何をしでかすか分からない。たとえ屯所に居たとしても安全とは言いきれなかった。
それでも土方を責め続けているのは、手元に海を置いておけない悔しさと海をすぐに助けてあげられなかった自分に対する怒りの八つ当たり。
「悪かった。謝ってどうにかなるようなことじゃねぇだろうが」
「もうそれは聞き飽きたんだよ。謝るんだったらちゃんとあいつを見ててくれよ。無理するやつだって知ってんだろが」
「あぁ……」
「あぁ。じゃねぇよ!お前ほんとにわかっ──ぐふっ!?」
俯く土方に銀時は苛立ちを募らせて声を荒らげ始めた頃、何かが銀時の顔へとぶつかって言葉が遮られた。
『銀、お前土方いじめるなよ』
「俺が今、海にいじめられてんだけどォ!?」
『土方をいじめてるからだろ』
銀時の顔にぶつかったのはコンビニのシュークリーム。幸い、シュークリームは無傷だが、銀時の顔は赤くなっていた。
『土方、あいつの言葉に耳貸さなくていいからな。お前まで糖分頭にされるぞ』
「あ、あぁ」
土方の前には缶コーヒーを置き、飲めよと声をかける。ため息をついた海は袋からミルクティーを取り出して口を付けた。
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