第36幕
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「じゃあ、俺は帰るわ」
「あぁ、ありがとな万事屋」
「礼にはおよばねぇよ」
「会っていかないのか。海に」
立ち上がって部屋から出ていこうとする銀時に土方が投げかける。銀時は面倒くさそうに振り返って土方を見やった。
「会ってくけど?なに?文句あんのか?」
「いや……」
「無いなら俺行くから」
素っ気ない返事をして銀時は部屋を出る。
ぺたぺたと縁側を歩きながら自分の中で揺らめく憤怒を抑えて。
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「トシ……」
「悪い、近藤さん。海があんなになっちまって」
「いや、俺がお前と総悟を呼び出したせいだ。お前らが居なかったからあいつは一人で見回りに行ったんだろう。仕事熱心で仲間思いのやつだから……他の隊士に負担がかからないようにしたんだろうな」
近藤は俯く土方の肩をぽんと叩く。
土方は漸く顔を上げて近藤へと視線を向けた。気にするなと言うように近藤は笑ったが、重くのしかかっている後悔が晴れることはない。
いつもそばで見ていたのに。何かあったらすぐに駆けつけて助けてやれると思っていた。そんな甘い考えが海をあの状態にしたというのであれば、自分はどれだけ甘ったれ根性なのかと自嘲する。
惚れたやつを助けてやることも出来ないなんて。
どれだけ探しても見つからなかった海をあの男はあっさりと見つけてきたのだ。銀時の腕に抱かれて帰ってきた海は白い着物を掴んだまま離さなかった。
それほど信頼しているのだと。
「海は……俺たちを恨んでねぇかな」
「近藤さん……」
「あんなことになっちまって……苦しかっただろうよ。それなのに俺たちは助けてやることも出来なかった。そんな俺たちを海は見放すんじゃねぇかなってな」
「そんなこと……」
無いと断言できない。
自分を守ってくれないようなヤツらの元に居続けるのだろうか。
自分なら……とっくに離れるだろう。
ぐっと手に力をこめる。握りしめ続けていた手から血が出るのも見て見ぬふりをして。
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