第36幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
高杉との抗争から1週間後。海は真選組屯所の自室にいた。
銀時たちによって奪還されたものの、高杉に盛られた薬の作用が酷く、海は感情が抜け落ちた状態。やっと仲間の元へと帰ってきたのにも関わらず、温かく迎えてくれた彼らに笑み一つ見せなかった。
近藤と土方に何があったのかとしつこく問われたが、銀時はその度に話を逸らし続けた。高杉に誘拐されたなんてバカ正直に話してしまえば、近藤たちは海と高杉の関係性を探るに違いない。
その為、銀時は攘夷浪士に拉致されたと言った。攘夷浪士であれば何も違和感も無いはずだ。普段から真選組は彼らを追いかけ回しては捕まえている。その報復を受けたのではないかと言えば納得するはず、と。
適当に作った話に近藤と土方が簡単に引っかかる訳もなく数日の間は疑われていた。だが、そこに桂が加わることによって話の信ぴょう性が増したのだ。
"仲間の解放をしなければまた貴様らの仲間が痛めつけられるだろう"
そう書かれた手紙が屯所に届けられたことによって、銀時の話は本当だったと証明された。
「すまなかった。海があんな状態になってしまったのは俺たちの責任だ」
「仕方ねぇだろ。あんたらだってそれ覚悟でその服着てるんじゃねぇのかよ」
海の様子を見に来た銀時は近藤に呼ばれて局長室へと来ていた。申し訳なさそうに頭を下げる近藤の姿はこれで四回目だ。ゴリラの顔を見るくらいなら海の所に長くいたいというのに。
「だが……」
「起きたことはどうにもならねぇだろ。それより今の海をどうするかだろ」
「医者の方はなんて言ってたんだ?」
「早くて一ヶ月。長くて……いや、もし治らなかったらあのまま……だそうだ」
海を取り返してからすぐに病院へと向かった。薬物治療をしている病院なんて限られている。下手にそこら辺の病院に連れて行ってしまえば、真選組の耳に入るかもしれないということで、桂が贔屓にしているという闇医者へと連れていった。
薬について詳しい医者が頭を抱えていたのは覚えている。転生鄉ならば成分が分かり、適切な処置を施すことができるのだが、今回海に使われた薬は成分分析からになってしまう。成分が判明するまでに時間がかかり、なおかつ処置が遅くなれば遅くなった分治りにくくなると。
薬の成分が判明するのが先か、海が自分で薬の効能に打ち勝つかのが先か。
「そんなにかかるのか……」
「あぁ。その間、俺たちにはなんも出来ねぇだろうな。あいつ次第になっちまう」
そう言って銀時は近藤と土方から目を逸らした。
苦しんでいるのは知っている。でも、助けてあげられない歯痒さ。もっと早く海の居場所が分かっていれば今より酷くはなかったかもしれない。
「わかった。海が治るまで俺達があいつを守ろう」
暫く無言が続いたあと、近藤が頭を抱えながら呟く。
そんな言葉、信じられるはずもない。今すぐ海を万事屋に連れて行って目の届くところに置いておきたいのに。高杉が地球にいるかいないかなんてわからない。また海を連れ去ろうと計画してるかもしれないのだ。
「万事屋?大丈夫か?」
「あ?あぁ。なんかあったら呼んでくれ」
「わかった」
ぼーっとしていた銀時を近藤は怪訝そうに首を傾げ、土方はじっとこちらを睨んでいた。
.