第35幕
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迫り来る天人たちを排除しながら桂の仲間が乗っている船へと逃げる。
落ちていく船の傍らで高杉を乗せた春雨の船は空高く上がっていく。昔は敵だと言って天人を殺していたやつが、今では天人と手を組んで悪巧みをしているなんてなんとも滑稽な話だ。
次に会った時には互いに敵同士。ばったりそこら辺で会うことがないのを願いながら、去っていく船を見つめた。
「銀時、怪我の方はどうだ」
「そりゃ酷いもんだよ。紅桜とかよくわかんねぇもんに殺されかけてんだからよ」
「……海のあれは……」
「あ?あんなの怪我のうちに入らねぇよ」
「どういうことだ。確かに海の刀はお前に刺さっていただろう」
「これのおかげだわ」
「まさか……」
「そのまさか。この服がなかったら確かに死んでたかもな」
「そうか……海自身が銀時を守ったということか」
「そういうこった。まったくほんとに可愛いやつだよ」
刀は確かに銀時に刺さっていた。だが、その切っ先は肉を抉ったわけではなく、銀時が懐に入れていたものに突き刺さっていたのだ。
心臓に向けられていた刃がなぜ腹の方へと移ったのかはわからない。切っ先がズレていなければあのまま死んでいた。もしかしたら海が刀を刺す直前に意識が戻ったのかもしれないと思ったが、刺されたのは事実なので、その考えは打ち払った。
海の隊服は銀時の血に塗れてしまっているし、所々穴も空いている。本人に返したところでもう使い物にはならないだろう。
それでもこれを手放すことは出来なかった。自分と海を守ってくれた上着を粗末にすることはできない。
「銀時。わかっていると思うが、あの薬は中毒性が高い。どれだけの量を高杉が使ったかは知らないが、数日の間は服用させていたらしい……気をつけろよ」
「そんなんわかってら」
薬の禁断症状が出た時に海を抑えられるのか。それは全て銀時にかかっている。
「おい、どこに行く!」
「あ?決まってんだろ?眠り姫見に行くんだよ」
銀時は桂を置いて、海がいる部屋へと足を進める。薬による副作用か、それとも精神疲労のせいか海は眠ったまま。心配だからと新八と神楽が側についていてくれているが、何があるかわからないのだ。
「あのクソガキ……次会ったら容赦しねぇ」
高杉が海に執着していることは知っていた。昔からそのせいで何度も喧嘩している。絶対に高杉にだけは海を渡さないと心に決めていたのだ。
それがまさかこんな形で奪われそうになるとは。
「次なんてもうねぇよ。誰にもやらねぇ」
連れ去ろうとする輩が出たらこの手で追い払う。昔はそうやって海を守ってきたのだ。これからもそれは変わらない。誰であろうと海は連れていかせない。
「もう何処にも行くなよ。俺のそばに……」
自分の隣にずっと居て欲しい。今度こそ必ず守るから。
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