第35幕
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「コイツに何しやがった」
隣に立っている海の様子が明らかにおかしかった。声をかけても一切反応を示さないし、銀時の目を合わせようともしない。
それどころか高杉の言葉に従っているようにも見える。海は以前、高杉の手を取らなかったはずだ。
それなのに。
「以前、お前らが関わった春雨。そこに乗っかっていた転生鄉を覚えてるか?それの代わりが最近できてなァ。試しに海に使ってみたら数日でこれよ。最初は記憶が曖昧になるくらいだったが、今ではもう自分が誰なのかもわからねェだろうよ」
そう言って高杉は不気味な笑みを浮かべる。
「海にそんなもん使ったのか」
「あぁ。記憶の飛んだ海は可愛かったぞ?俺に縋って泣きついてきた時は……喰ってやろうかと思ったくらいにな」
その言葉に銀時は傷だらけの体のことなど忘れて高杉の元へと走った。手にしていた刀を振り上げて斬りかかろうとするも、刃は別の人間によって防がれる。
「海!」
高杉を守るようにして刀を構える海。銀時を追い払うように刃を向けてくる姿に動揺が隠せない。
「銀時……てめェはいいな。なんも苦労せずに手に入れられて」
「何の話だよ……」
ギリギリと海の刀と銀時の刀が擦れ合う。そんな中、高杉は海を後ろから抱き締めて腰を撫でる。まるで恋人同士の触れ合いのような手つきにカッと頭が熱くなる。
「海は最後までお前の名前を呼んでた。薬に冒されて苦しんでる中、ただひたすらお前に助けを求めてな」
「くっ……てめぇ!!!」
「そんな状態の海を放ってお前は何してたんだ?お前はこいつと何を約束したんだ?」
約束という言葉にハッと我に返る。その瞬間、海が足を上げているのに気づいた。蹴られる、と悟った時には遅く、銀時の身体は甲板の方へと吹っ飛ばされる。足蹴りが当たった場所は似蔵に刺された脇腹で、じわりと血が滲むのを見て傷が開いたのかと舌打ちをした。
カチャリ、という音が聞こえて即座に顔を上げる。目の前には海が立っていて、銀時の首目掛けて刀を振りかざしていた。なんとか痛む身体に鞭を打って転がるようにして避ける。
「海……いい加減目ェ覚ませよ……銀さんさっきから戦い通しで疲れてんだよ……」
壁へとめり込んでいる刀を取り海は再度、銀時へと刀を構える。その姿はもう人間ではない。ただの殺人ロボットのような出で立ち。
止めなくてはいけないのはわかっている。だが、似蔵との戦いによって負傷した身体は自由に動かせない。海の剣をギリギリのところで避けるのが精一杯だ。
「ちょっと海くん落ち着こう?バーサーカーなんて今どき流行らないって」
何度も避けながら海に喋りかけるも状況は変わらなかった。
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