第34幕
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「んごををををををを!!!」
高杉の船に捕らわれていた神楽を助けるべく乗り込んできた新八は、その手にしっかりと神楽を掴んで必死に走っていた。
海上から上空へと上がろうとしている船。立っているのも難しいほどの傾斜具合に新八は倒れぬようにとひたすら走った。
「何者っスかぁ!!オイィィ!答えるっス!」
「また子さん、走ることに集中した方が良さそうですよ。ああなります」
また子の隣を走る武市が転がっていく浪士を指差して言うが、その直後、彼も浪士たちと同じ末路を辿って行った。
「ダメ!もう落ちる!神楽ちゃん、助けに来といてなんなんだけど、助けてええええええ!!」
「そりゃねーぜ、ぱっつぁん」
「呑気でいいなてめーは!!」
「新八、私こんなところまでヅラ捜しに来たけどやっぱり見つからなかったネ。ヅラはどうなったアルか?それに海もおかしかったネ」
「え、海さんここにいるの!?」
「いたけど……あんなの海じゃないアル。あんな……悲しそうな顔……」
そう言って神楽は俯いた。彼女がこんな顔をするのは珍しいことだ。それほどのショックを受けたということなのだろうけど、状況を上手く理解していない新八はなんて声をかけたらいいのかと悩んだ。
「でも、なんで海さんがここに?海さんも桂さんのこと探してたの?」
「わからないアル。海、何も言わなかったネ」
「何もって──」
どういう意味?と聞こうとした瞬間、すぐ真横に大砲が落とされて新八たちは爆風によって吹き飛ばされる。
必死に神楽へと手を伸ばして掴みはしたが、一人で持ち上げられるほど場所が良くない。ずるりと落ちゆく己の体に絶望を募らせていたところで、何者かによって服を引っ張られて船へと戻された。
「エリザベス!こんなところまで来てくれたんだね!」
後ろを見るとエリザベスが立っていた。その姿に喜ぶ新八だったが、エリザベスの背後に見えた顔にサッと血の気が引いた。
男と目が合った瞬間、自分たちを助けてくれたエリザベスの頭が斬り飛ばされる。ふわふわと浮かぶ被り物の布を新八はただ見つめることしか出来なかった。
「オイオイ……いつの間に仮装パーティ会場になったんだここは。ガキが来ていい所じゃねーよ。ここは」
不敵に笑う高杉。もうダメだと新八が思った時、聞きなれた声が響き渡る。斬られたと思ったエリザベスの中から出てきた人は神楽と新八が一生懸命探していた人物。
「ガキじゃない。桂だ」
いつも聞くフレーズと共に桂は高杉に向けて刀を振る。以前より髪は短くなってはいるが、他は何一つ変わらない桂。生きていたことに安堵しつつ、神楽と新八は言葉にならない怒りが芽生えた。
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