第33幕
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「本当のこと話に来てくれたんだろ。この期に及んで、妖刀なんて言い方で誤魔化すなんてのはなしだぜ。ありゃなんだ。誰が作った?あの化けもん」
室内へと招き入れたのは紅桜の捜索を依頼した男の妹。紅桜が普通の刀でないことはもはや明白。それを伝えるべく彼女は降りしきる雨の中、万事屋まで足を運んできた。
「紅桜とは父が打った紅桜を雛形に作られた対戦艦用からくり機動兵器。電魄(でんぱく)と呼ばれる人口知能を有し、使用者に寄生することでその体をも操る。戦闘の経緯をデータ化し学習を積むことでその能力を向上させていく。まさに生きた刀」
戦闘の経緯を学習する。即ち、戦った相手の技術を蓄積し己のものとする。それは人間と変わらない知能。
"速い……速いな……閃光のあの素早さを習得したということか、紅桜よ"
銀時とやり合う前にあの刀は海と剣を交えている。それはつまり海の技術を手に入れているということ。紅桜相手にどんな立ち回り方をしたのかまではわからないが、昨日の時点で紅桜は銀時の腕を上回っていた。
「おいおい……洒落になんねぇな」
あれでは姿は違えど海を相手しているのと変わらない。まだギリギリ視認できる速さの剣さばきだが、銀時は紅桜に敗れてしまっている。刀の動きに似蔵自身が追いついていなかったのにも関わらずだ。似蔵が紅桜に対応出来るようになったとき、銀時は確実に勝てなくなる。
一度だって海に刀で勝ったことは無い。素手での殴り合いの喧嘩ならまだしも、刀を持った海など到底敵うまい。
そんな相手を真似した紅桜を止められるというのか。
「……あんなもんを作れるのは江戸には一人しかいない。頼む……兄者を止めてくれ。連中は……高杉は……紅桜を使って江戸を火の海にするつもりなんだ」
テーブルに手をついて頭を下げる鉄子を冷たく見下げる。そんな彼女に銀時は今までそれを黙っていたこと、兄が何をしでかそうと知ってた上で素知らぬふりをしていたことを問い詰めた。
もっと早く教えてくれていたならば。自分も桂も、そしてここにはいない新八や神楽、エリザベスだって巻き込むことは無かったはず。
何より腹立たしいのは……。
「今、あの刀がどういう状態にあるか知ってるか?あれは学習しちゃいけねぇもんを覚えちまってんだよ。俺でさえも骨が折れるようなもんを。そんなもんどうやって止めろってんだよ」
彼女に渡された慰謝料を銀時は投げ返す。
とっとと出てってくれと強引に追い出して、銀時は布団へと戻っていった。
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