第53幕
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暗い屯所の門の前に二人で並ぶ。またこの門をくぐれるとは思っていなかった。
『本当に……俺は戻って平気なのか』
「ダメだったらウチに来ればいいじゃん。こっちは大歓迎だよ」
銀時に背中を押され屯所の門へと一歩近づく。躊躇いがちに戸に手を掛け少しずつ開けた。
「海さん」
『総悟……』
「遅かったじゃありやせんか」
真っ先に出迎えたのは総悟だった。屯所へと続く道のど真ん中で腕を組んで立っている。
「お帰りなさい」
たった一言。だが、とても温かい言葉。
『ただいま』
「あれ?なんで旦那も居るんですかい?」
「あ?いちゃ悪いかよ。お前らが海を追い出したら俺んとこに連れていこうと思ってたのによ」
ズンズンと中に入ってきた銀時は不機嫌そうに総悟をじっと見る。
「残念でしたね。海さんを屯所から追い出すなんてこと絶対ないんで」
「だってよ」
『……俺は』
「海さん。何があっても貴方はウチの人間です。海さんが抜けたいって言っても許しませんよ」
「なにそれ。独占欲強すぎない?」
「俺以上に海さん独占したいやついるんで」
ちらりと総悟は横を見る。総悟の目を追うように屯所の庭へと目を向けると、そこには土方と近藤が立っていた。
「海……お前……!」
『その……迷惑掛けて悪かった』
目を見開いて驚く土方に苦笑いを浮かべ、こちらへと一歩踏み出してきた近藤には頭を下げる。
『すみませんでした』
「いいんだ……お前が無事ならそれで」
涙ぐみながら近藤は海の手を取り何度も良かった良かったと繰り返す。この状況をどうしたものかと戸惑っていると、頭の上にぽすっと手が乗った。
「な?大丈夫だったろ?」
優しく笑う銀時に海も柔らかく微笑む。
『ありがとな、銀』
「どーいたしまして」
嬉しそうに、でもどこか拗ねているような顔をする銀時。
「ん?なんだ?もしかしてお前ら……」
「なんだよ。"そういうこと"だから。海に手ぇ出すんじゃねぇよ」
「いや、俺はお妙さん一筋だ。でも、アイツがショック受けるだろうな」
銀時と近藤は一緒に土方の方を見やる。土方は二人から向けられる目に首をかしげた。
「な、なんだよ」
「トシ、きっと良い奴が見つかるさ」
「うんうん。だから諦めなさい」
「何がだよ!お前何の話してるの!?」
『何を諦めろって?』
「海くんは気にしなくていいから。もうお前は俺の事だけ見てればいいんだからね?」
にっこりと笑う銀時に土方はハッと何かに気づいた顔をした。そして銀時をキツく睨みつける。
「てめぇ、まさかッ!」
「まさかも何もコイツは元々俺のだから」
怒る土方に銀時は気持ち悪い笑みを浮かべながら海を後ろから抱き込む。海を間に挟んで騒ぐ二人に近藤はオロオロし、総悟は深いため息をついた。
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