第53幕
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「やっべ。今何時だ?」
パチッと目を開けて周りを見渡す。そこはいつもの万事屋の天井ではなく、見慣れない天井だった。
海とラブホテルに来たのを瞬時に思い出してもそりと起き上がる。横にはすやすやと海が眠っていた。
「無理させちまったか」
起こそうと思って肩を揺さぶってみたが起きる気配は無い。海は受け入れていた側だからそれなりに負担がかかってしまう。しかも初めての経験で緊張や恐怖だってあったはずだ。
「ごめんな、海」
優しくやれていた自信はない。最後の方は我慢できなくて海に無理を強いてしまった。なんとか怖がらせないようにと声を掛けたが、それでも海は怯えた顔をしていたのだ。
『ん……』
「海?」
『ぎん?』
もぞもぞと掛け布団から顔を出す。その目はまだ眠そうでとろんっとしていた。
「まだ眠いなら寝てていいぞ?」
『ぎん、ぎん』
「ん?」
うとうとしながら海は銀時の方へと擦り寄る。布団の中へと戻って海を抱きしめると、嬉しそうに笑った。
「なに?どうした?」
『なんでもない。なんか……』
「なんか?」
ぽつりと呟いただけで海はそのままストンっと眠ってしまった。なにが言いたかったのかは分からないが、幸せそうな顔をして眠っているから悪いことではないだろう。
「はぁ……このまま帰したくないんだけど」
ずっとこのままがいい。帰るなら自分の家に。万事屋に連れていきたい。
でも、それは叶わない望みだ。海が属しているのは真選組で、その局長に海を無事帰すと約束をしている。
天人の船から救い出した翌日、近藤に連絡を入れた。海はちゃんと取り返したと言った時の近藤は咽び泣いていたのだ。海の無事をずっと心配していた彼は何度も銀時にお礼を言っていた。電話口で頭を下げているのも見なくても分かってしまうほどに。
だから尚更海は帰さなくてはならない。
たとえ自分のものになったとしても。
「海」
腕の中で眠る海の首筋にいくつもの華を散らす。元の場所に戻ったとしても、他の奴らにちょっかいを出されないように。特にあの瞳孔ガン開きの男には。
「誰にもやらねぇから」
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