第51幕
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かぶき町をふらりと二人で歩く。どこかへ行くというわけでもなく、ただふらふらと。
『銀時』
「うん?」
『毎日は難しいと思うけど、できる限り顔出しに行くから』
「おう」
『非番の日があったらなるべく空けておくし、事前にお前に言っておくから』
「……おう」
それと、それと、と海はもごもごと呟く。それはなんだか銀時が離れてしまうのが不安で一つ一つ確認しているような言い方。
「海、もしかして不安なの?」
『……そんなんじゃないけど』
そう言った声は明らかに震えていて、今にも消え入りそうだ。銀時の方を見ずに俯いている海の横顔はとても寂しそうだった。
海が真選組に戻るのを寂しく思っていたのは自分だけでは無い。海もまた元の場所に戻ることで万事屋から離れるのを寂しがっている。帰り支度を早々に済ませていたのは、寂しいという思いをかき消すためだったのか。
あまりの可愛さに思わず海のことを抱きしめてしまった。人の往来が少ない道だとはいえ、それなりに人の目がある。だからすぐに海は離れてしまうだろうと思ったが、銀時の予想を反して海は銀時の背中へと腕を回した。離れないように羽織をぎゅっと掴んで。
「なんも心配することはねぇよ。いつでも会える距離なんだし、俺は海の事しか愛してねぇから。浮気なんてするわけないだろ?」
『いや、なんか……うん』
「なに?照れちゃった?」
顔を隠すように海は銀時の首元へと顔を押し付ける。そこから伝わる熱はとても熱かった。
『うるさい』
「はいはい、可愛いですねー」
ぽんぽんと背中を撫でると、代わりに背中を軽く叩かれる。愛しすぎて離したくない。出来ることならこのまま連れて帰りたい。
それが出来ないのであれば……。
何か証として残せるものはないかと顔を上げる。そのとき目に映ったものに銀時はにやりと口角を上げた。
「なぁ、海」
『なに?』
「ちょっとした思い出作らねぇ?」
『思い出?』
「そ。思い出」
『いいけど……思い出ってなんだよ』
ぎゅうっと強く抱き締めて、海の耳元でぼそりと呟く。きょとんとしている海の手を引いてその建物へと向かう。
どこに行くのかと不思議がっていた海がとある看板を見つけて口をあんぐりと開けた。
そんな海を見ながら銀時はこれからやることにうきうきしながら歩く。
「海の初めて俺に頂戴」
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