第51幕
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『……お前ら言っておくが菓子は一つまでだからな』
「「!?」」
『菓子ばっか食って、ご飯食べれないとかはシャレにならねぇよ』
「そ、そんなことないネ!ちゃんとご飯食べてるヨ!」
「そうでさぁ!しっかり飯は食ってますぜ!」
『それでも一つだ。一つに絞りなさい』
カゴの中に入れられた大量の菓子。菓子パーティーでもするのかと聞きたくなるほど沢山入っている。子供からしたら夢の宝庫だろうが、こちらからしたら身体に悪いものばかりである。菓子を一切食べるなとは言わないが、食べる量を考えろと付け加えると、総悟と神楽はカゴの中を見つめて唸り出す。
「一つじゃなきゃダメですか?」
『菓子じゃなくて飯を食え、飯を』
「うーーーーーん。じゃあ、酢昆布で我慢するネ」
『神楽、酢昆布に絞ったからって酢昆布を何個も持ってくるな』
「えー、酢昆布が一つね」
『それは一つじゃなくて酢昆布一種類だから。酢昆布を十個も入れるんじゃない』
「うぐぐぐ」
「海さん……」
『あ?』
「朔夜と半分こするって言ってもダメですかい?」
『おい。別の人間巻き込もうとしてんじゃねぇよ』
「あいつ生まれてからこのかた菓子を食ったこと無いらしいんですよ。飯のレパートリーもそうですけど、朔夜は知らないことが多すぎるんで」
その理由は分かっているからこれ以上ダメだと言うことが出来ない。
『程々にしておけよ?』
「はい!」
嬉しそうに返事をして総悟は菓子売り場をうろうろと歩く。朔夜に食べさせる菓子を選んでいるのだと思うと、何となく嬉しい気がする。
これからは沢山のことを教えていかなければならない。西ノ宮は犯罪者だとしても、朔夜の父親には変わらないのだ。親を失ってしまった子供は他の大人から学ばなければいけない。その義務が兄である自分に来ている。
誰かにバカにされたり親のことで後ろ指刺されたりすることのないように守らなければ。
『(俺に出来るのかもわかんないけど)』
両手いっぱいに菓子を抱えて戻ってきた総悟にゲンコツを落とし、会計を済ませるためにレジへと向かう。万事屋に持って帰る分と総悟の菓子を分けるために袋を二枚貰わなくてはと思ったとき、ふとある事を思い出してハッとなった。
『神楽、総悟。いちご牛乳となんか適当な菓子を一つ持ってきてくれるか?俺、ここに並んでるから』
「分かったネ!」
「へい!」
バタバタと走り出す子供らの背中に向けて走るなと声をかけるも、海の声が聞こえていないのか二人は菓子売り場と飲み物売り場へと散る。海の後ろに並んでいたおばあさんはにこやかな顔を浮かべていて、海もつられて笑った。
会計が始まった所で二人が戻ってきて、持ってきたものをカゴの中へと入れられる。いちご牛乳と激辛せんべいと書かれたお菓子。
いちご牛乳は銀時に、お菓子は新八へあげようと思っていたのだが……これは嫌がられるかもしれない。
『(悪い……新八)』
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