第50幕
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「海ー……海くーん?お眠かー?」
『…………ん』
飯を食い終わってからゆっくりとテレビを眺めていたら、ぽすっと左肩にぶつかる海の頭。漆黒の瞳はシャッターが閉じられて見えず、声をかけても小さい返事だけで終わる。
「疲れたもんな。ゆっくり寝てろ」
テレビを消して海を抱き上げる。寝室の戸を足で開けて中へと入り、用意しておいた布団の上に下ろした。戸締りを確認したあとに銀時も布団の中へと潜り込む。
右腕に海の頭を乗せて寝顔をじっと見つめる。余程疲れているのか頬を突いても起きる気配がない。その可愛さに下半身が元気になってしまったが無視した。
「あー……ヌキたい……ヌキたいけどここでやったら怒るよな」
すやすやと眠っている海をやんわりと抱きしめて目を閉じた。大丈夫。きっと自分なら我慢できると信じて。
「おやすみ、海」
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
バタバタと家の中を走り回る音で目が覚めた。眠い頭で真横を見たが、そこに海の姿は無い。どこへ行ったのかと勢いよく起き上がると、戸の向こう側から海と神楽の声が聞こえた。
居間の方から聞こえてくる騒がしい声。その声に混じって海の声も聞こえる。
「おい、お前ら朝からうるせぇぞ。もうちょっと静かに出来ねぇのかよ」
「銀さん!おはようございます!!」
「はよ、新八。お前ら一体何騒いでんの?」
「海さんが朝ごはん作ってくれたんです!それで神楽ちゃんがすごく喜んでて」
「朝ごはん?」
「はい!僕達もさっき来たところなんですけど……」
新八が指差す方には海と神楽が立っている。銀時がケーキを作る時によく使っているエプロンを身につけている海。
「海さん、帰ってきてくれたんですね」
「あぁ」
「すごく心配したんですよ?銀さん、僕達には姉上の所に行けとしか言わなかったから。ずっと心配で眠れなかったくらいなんですから」
「言っただろうが。ちゃんと取り返すって」
「でも……銀さんたちに何かあったらと思うと……」
俯く新八の頭を乱暴に撫でる。新八はズレたメガネの位置を直しながら顔を上げて銀時を見た。
「ばーか。俺を誰だと思ってんだよ。万事屋銀ちゃんですよ?それに……」
朝飯を作りながら楽しそうに笑っている彼の顔を見て緩く笑みを浮かべる。
「あいつは俺が守るって約束してるんだよ」
もう何があっても離さない。例えどれだけ遠くへ行っても必ず見つけ出す。海の笑顔を守れるのであれば、この身を投げ打っても構わない。
そう心に誓って。
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