第50幕
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『お邪魔します』
「どうぞ」
明かりのついていない万事屋へと入りボソリと呟く。神楽と新八はお妙のところに行っているらしく家には誰もいなかった。玄関先でもたついていると、後ろから銀時に背中を押される。
「どうした?」
『なんか……緊張する』
「緊張?別にいつもと変わらないだろ?」
『それはそうなんだけど……』
なんら変わりない玄関先。でも、気分的に緊張する。そう呟くと、銀時はふはっと笑った。
靴を脱いで廊下を歩く。やはりいつもと違ってなんだか居心地が悪い。神楽と新八が居てくれたら良かったのにと思った瞬間、この居心地の悪さを理解した。
この家に今、銀時と海しかいない。二人きりでここに居るのだとハッキリと認識した途端にぶわりと顔が熱くなった。
先に部屋へと入っていった銀時は何やら寝室の方でゴソゴソしている。気にしているのは自分だけなのだと言い聞かせながら、そっとソファに腰を下ろす。
暫くして銀時はタオルと着流しを手にして出てきた。
「とりあえず風呂入ってこい。そのままじゃ……アレだろ?」
『野郎共のモノがついたままだから。助かる』
「俺のしかねぇからちょっとでけぇかもしんねぇけど……」
『そこはなんとかする』
「そうか?あー……一人で大丈夫か?」
『なんだよ、洗ってくれるのか?』
目を泳がせながら言ってきた銀時に不敵な笑みでそう問えば、銀時はびっくりして海を見る。何となく言ってみただけなのだが、自分でも何を言っているんだと思い、顔をサッと背けた。
『冗談。間に受けんなよ。一人で大丈夫だから。心配すんな』
「お、おう……なんかあればすぐ呼べよ?」
『はいよ。じゃあ、風呂行ってくるわ』
ひらひらと手を振って風呂場へと歩く。後ろからじっとこちらを見ている視線に気づいて、また小さく笑った。いつからそんなに過保護になったんだか。
脱衣所で晋助から借りた着流しを脱ぐ。天人の返り血は既に乾いていて、ぽろぽろと剥がれていのが見えた。これは早く洗わないと落ちなくなってしまうだろう。でも、直接洗濯機の中へと入れるのは抵抗がある。手で洗うにしてもしっかりと落とし切れるか不安だ。
何かないかと周りを見渡すと、洗濯板が置いてあることに気づいた。暫く使われていないのか、ホコリを被っていたそれを手に取り風呂場へと持っていく。
シャワーの蛇口を捻ってお湯を出し、桶の中にお湯を溜めてその中へと着物を入れる。お湯は瞬く間に赤く染まった。お湯を何度か捨て、着物を入れても色が変わらなくなった頃に自分の身体を洗い始めた。
ここで全てを洗い流さないと。
その日はいつもよりも時間をかけて全身をくまなく洗った。
なんの痕跡も残さないように。あいつらの残りが全て消えるように。
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