第18幕
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『お前ら体力無さすぎだろ……』
道中、車が壊れたことで炎天下の中を歩くという状態に陥ったが、なんとか海たちは海までたどり着くことが出来た。
海につくなり倒れ込む銀時と新八を見て海は呆れた顔を向ける。
「海さんはなんでそんな元気そうなんですか……」
「車ん中で死にそうな顔してた奴が言う事かよ……」
『人の熱と太陽の熱とでは違うだろ。それにお前……!』
車の中で擽ってきただろうが。と言おうとしたが、新八の不思議そうに海を見る顔が視界に入ってやめた。
ニヤニヤと気色の悪い笑みをする銀時の頭へと拳骨を落として、海は自動販売機へと向かった。
「何したんですか、銀さん」
「別にー?」
二人分の飲み物を買っている間に新八が海を怒らせるようなことをしたのか、と銀時に問い詰めるが、銀時は素知らぬ風を見せる。
『ほら、これ飲んでおけよ』
新八と銀時にスポーツドリンクを渡して飲ませれば、多少なりとも顔色が良くなった。
「海!水着に着替えるアル!」
『ここ遊泳禁止って書かれてなかったか?』
「海くん、そんな細かいこと気にしちゃダメよ」
『いや、細かい事ではねぇと思うけど……』
砂浜に刺さっているいくつもの看板。それにはどれも遊泳禁止と書かれている。これだけ看板が立っているのだ。泳いではいけない理由があるはず。
「海!早く着替えようよ!」
『ちょ、待てって!』
神楽に手を引かれて、海の家の更衣室へと押し込まれる。胸元に先程、お妙が買った水着の入った袋を押し付けられた。
神楽は海の静止の声も聞かずに扉を閉めてしまった。
『……まじかよ』
ここまでされてしまってはもう着替えるしかない。仕方ない、と腹を括って海は着物の帯へと手を掛ける。
『……っ』
いつもより簡単に解けた帯に思わず海の顔が羞恥に染まる。車内で散々銀時に脇腹を擽られたせいで帯が緩んでいた。
『あの……馬鹿野郎ッ!!』
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「素敵なシャツですね、銀さん」
「そうだな。思春期に母ちゃんがもし着てたら、ドメスティックバイオレンスの引き金になりそうだな」
「そのシャツはね!うちの店員しか着ることが許されない非売品のレア物だよ!これで君たちも海の男の仲間入りだ!だから、俺を解放しろ!海の男はこんなことしないぞ!」
両手足をロープで縛られた男が砂浜で騒いでいるのを横目に、新八はこれからのことを銀時に聞く。懸賞金をあてにしてここまできたというのに酒の場で発言した冗談だと言われたのだ。
怒りに任せて縛り上げたのは悪くないはずだ。
「やるしかねぇだろ」
砂浜に横になっていた長谷川が口を開く。
「やるって何を?」
「誰もいない海に、1匹の化け物と3匹のビーチの侍。俺達が守らずに誰がこの海守るってんだ?」
起き上がって海を見つめる長谷川。新八と銀時も長谷川の視線を追うように海へと目を向ける。
「お前らは何か落ち込んだとき、どうやって気を静める?人間ってのはその立ち直り方で2種類に大別できるんだ。1つ目は自分よりも小さいもん見て、俺はまだマシだと慰めるヤツ。2つ目は自分より大きなもんを見て、チンケな自分ごとどこかへすっ飛ばしてしまうヤツ。俺は2つ目だ。昔からイヤなことがあると、よく海に来た。己の小ささを知るためにな」
そのあとに付け足すように、奥さんとの出会いも語る。
新八と銀時はこれを黙ってつまらなさそうな顔で聞き流していた。
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