第18幕
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「ちょ!神楽ちゃん踏まないで!傷口膝で押してるから踏まないで!」
「てか、あつッ!暑くて、くさっ!あんたポマードつけすぎだよ」
後部座席に座るのは海と銀時と長谷川と定春。言うまでもないが、1番場所を取っているのは定春である。
長谷川を右側に寄せ、真ん中に定春。そして左側の方に銀時が座り、その膝の上に海を乗せていた。
「あっつ……ちょ、定春!お前、その毛玉どうにかならねぇのか!」
『どうにもならないだろ……暑い暑い言うなよ、もっと暑くなる!』
ぎゅうぎゅうと狭い車内の中で個々に叫ぶから熱気が酷い。ダラダラと流れる汗を感じながら、俯いたままの海に声を掛けた。
「おい、海。大丈夫か?」
『ん、なんとか』
銀時に負担をかけないようにしているのか、膝の上に座っているというよりも、銀時の膝を跨いで膝立ちしている状態。
この空間にいるだけでも辛いのに、そんな痩せ我慢しなくてもいいのに。
海を膝の上に座らせようと銀時は海の腰を引き寄せる。両手で腰を掴めば、その細さに眉を細めた。
『なん、だよ!』
「細い。お前、昔より細くなってねぇか?」
無遠慮に腰を撫で回すように手を動かす銀時に海は身動ぎして逃げようとするが、この狭い車の中ではそんなに動ける訳もなく、ひたすら銀時の手に耐えるしか無かった。
『離せバカ!』
「やっぱ細くなってんだろ。なんなの?銀さんなんかちょっとぷっくりしてきたのによ。なんでお前そんな細いわけ?」
『知らなッ……ひっ!?』
銀時の手が腰から脇腹へと移った瞬間、海の口から高い声が漏れた。ビクッと体を震わせて、銀時の膝の上に座る。身を縮こませ、海は銀時の服を掴んだ。
「海?」
『……も、触んな!』
「くすぐったかった?」
触るな、と言われて触らないわけがないだろう。銀時は海の反応に加虐心が擽られた。
「海、やだ?」
脇腹を指で突く度にびくびくと震える身体。海は声を出さないように唇を噛んでいた。
「なぁ、海」
しつこく聞けば海は小さく頷いて、嫌だと銀時に伝える。が、そんなもんで銀時が擽る手を止める訳もなく、突いていた手を今度は撫で回すように脇腹に這わせた。
『やっ……め、』
如何わしいことをしている自覚はある。すぐ近くに子供らがいるのにも関わらずこんな事をしているなんてバレようものなら社会的に抹殺されかねない。
それでも手を止めることが出来ないのは、海のせいだ。
暑さで上気した顔。嫌々と首を横に振って銀時の服を縋るように掴む手。どれも扇情的に見えてしまう。
まるで、隠れてシているように。
自分たちはそんな関係ではない。だからこれはタダのお遊び。ゆっくりと海の顔へと自分の顔を近づける。コツリと額がぶつかった時、海と目が合った。
「海」
のぼせた時のようにトロンっとした目。意識がハッキリしていないのか、じっと銀時を見つめたまま海は動かなかった。
「いじめすぎたか。ごめんな」
脇腹に触れていた手を腰と回し、海を胸へと引き寄せる。抵抗することなく大人しく海は銀時へと寄りかかった。
『ぎ、ん』
「もう少しだけ我慢な?」
『ん、』
あぁ、そういえばこの子は暑さが得意ではなかったか。そんなことをふと思い出した。
夏の日は外に出ずにいつも家の中に居た気がする。外で遊んでいた銀時たちをぐったりと畳の上に寝っ転がりながら見ていた。
「今日は外で遊ぼうな」
まだ彼が知らないことは沢山ある。今日はとりあえず海で遊ぶことを教えてあげよう。
せっかく水着ももらったんだ。海で泳ぐ気持ちよさを。夏の暑さはそんな悪いものでは無いということを。海に知ってもらおう。
「……あっ、俺、仕事しに来たんだっけか」
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