第18幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
かぶき町駅前。人の往来が多い場所に海と万事屋メンバー、長谷川、お妙の六人が暑い中立っていた。
「……というわけで、お前ら!気合い入れて行くぞ!」
「「「オーっ!」」」
『おー?』
「俺たちゃな、遊びにいくんじゃねぇんだよ!戦いに行くんだよ!」
この茹だるような暑さの中で気合いを入れて叫ぶ銀時。
海に行くとしか聞いていない海は"戦いに行く"の理由がわからず、銀時を不審そうに見やった。
今日は久しぶりの非番だった。たまにはゆっくりしておいでと近藤に言われ、笑って屯所から送り出され(追い出され)た海は行くあてなく、ふらりと無意識に万事屋へと立ち寄った。
インターホンを押した数秒後に騒がしくなる玄関先。カラカラと小気味の良い音をたてながら戸が開かれた先に居たのは神楽。
「海!」
『銀時はいるか?』
「中にいるアルヨ!」
海を見て嬉しそうに笑う神楽。半ば強引に腕を引かれて万事屋の居間へと連れ込まれる。中では、銀時と新八がいそいそと何かを準備していた。
「あっ、海さん!こんにちは」
『こんにちは、新八。なんだ?どこか行くのか?』
「ええ、銀さんが暑いから海に行こうって言ってくれたんですよ」
『なるほどな。こんな暑さじゃ海にも行きたくなるわな』
出掛けるのであれば自分は邪魔になってしまうだろう。気をつけて行ってこいよ、と声を掛けて海は踵を返した。
話し相手がいないのであれば、今日はどう暇を潰せばいいのか。そう思いながら玄関へ戻ろうとした海の背中へと神楽が引っ付いた。
「えー、海帰っちゃうアルカ?海も一緒に海行くネ」
『俺も?俺は別にいいけど……銀時がなんて言うか』
「大丈夫ですよ!むしろ、海さんが来るとなれば銀さんも喜びますよ!ね?銀さん!」
「あ?なに?海も来るの?」
新八が寝室にいる銀時へと声を掛ける。タオルやらなんやらを押し入れから引っ張り出していた銀時は海も一緒に行くと聞いて嬉しそうに破顔した。
『俺なんも準備してねぇよ?』
「その身一つでいいだろ。タオルとか必要なら貸してやっから。海も一緒に行こうぜ?ひと夏の思い出としてよ」
な?と誘われれば、断る理由のない海は大人しく首を縦に振った。そして今に至る。
「荒波砕ける男の海に、さぁ!こぎ出そうってその時に!何だ?お前ら。遠足気分ですか?おやつは300円までって、今の子供は300じゃ何も買えねぇんだよ!分かってんの?ホント」
なんでコイツはこんなにも白熱しているのか。怒鳴れば怒鳴るほど暑苦しいというのに。
隣にいる長谷川もうんうんと何故か頷いているのを見て、海の頭の上には疑問符が飛び交った。
「隊長!んまい棒なら400本買えるであります!」
『神楽、ちょっと桁が一つ多いぞ。しかも、10個ほど多い』
「じゃあ、30本?」
『消費税は抜いたとしたら正解。よく出来たな』
偉いな、よく出来ました。と神楽の頭を優しく撫でる。「海に褒められた!」と喜ぶ神楽の笑みにじとりと絡みつくような暑さを一瞬だけ忘れることが出来た。
.