第17幕
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『さて、どうするか』
なんとか縁側にはたどり着いたが、何処から上へと登るか。とりあえず近くにあった柱へと近づいて軒どいへ手を掛ける。グッと引っ張ってもビクともしない頑丈さに口角が上がる。これならここからよじ登れる。
軒どいに体重をかけ、懸垂をするような形で身体を持ち上げた。
「海!!!!」
もう少しで上半身が上がる、というところで後ろから銀時に声をかけられて顔だけ振り返る。こちらへと手を伸ばしているのが見えた。
「ん?君は?」
そして真横に現れたふんどし仮面。海と同じように軒どいにぶら下がった男は海を見て不思議そうに首を傾げた。
何故ここに?という疑問とミシッと何かが軋む音。男二人分の体重に軒どいが耐えられる訳もなく、海とふんどし仮面の間ぐらいで軒どいがパキリと割れた。
「なんと!?」
『うお……まじかよ!』
外ではなく縁側へと落ちるように身体を捻って着地した。ふんどし仮面も共に落ちたはずだからまだ近くにいるだろうと振り返った先、ピピッという電子音と共に身体が爆風によって吹き飛ばされた。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「海!……海ッ!」
「ぜ、全然起きませんよ!!銀さん!!」
「おいおい……嘘だろォ!?」
ふんどし仮面が起爆させた地雷によって吹き飛ばされた海。受け身も何も取れずに爆風で海は壁へと背中を打ち付けて倒れた。
事が終わって慌てて海の元へと駆け寄ると、海は意識を失ってぐったりと倒れたまま。何度も声を掛けて揺さぶってみるも、瞼は固く閉じられたまま開く気配もない。
「おい、万事屋!海は大丈夫なのか!?」
バタバタと近寄ってきたのは海のお仲間。銀時の腕に抱えられている海を見て表情が固く険しさが増す。銀時が揺さぶっているのにも関わらず起きないのを見て青ざめた。
「起きねぇんだよ!」
「土方さん、救急車呼んだ方がいいんじゃありやせんか?」
「頭打ってんなら病院の方がいいか……!」
急いで携帯を取り出して救急車を呼ぼうと電話する土方。早く、早くと誰も思った時、くいっと銀時の着物が引っ張られた。
『騒がしい……』
「海……?」
ぼそりと聞こえた海の声に銀時がハッと海の顔を覗き込んだ。眉間に皺を寄せてどこか痛そうな顔をする海。大丈夫か?と声をかければ、これまた小さな声で大丈夫と返された。
「良かった……」
『死んだわけじゃねぇんだからそんな顔すんなよ』
銀時の顔を見て驚く海に、むにっと頬を摘んで引っ張られて情けない顔を晒した。
「お前、中々起きなかったんだからな?どんだけ心配したと思ってんのよ」
『そんなに起きなかったのか?』
共に海が起きるのを待っていた新八と神楽に聞き返すと、二人は力強く頷いた。そんな二人に海は申し訳なさそうに眉を下げて『ごめんな』と呟いた。
「大丈夫ですかィ?海さん」
『ん、大丈夫。悪い、心配かけた』
「起きてくれたんで大丈夫ですぜ。土方さんが先走って救急車呼びやしたけど」
「はァ!?てめぇが呼べって言ったんだろうが!」
「俺は呼べなんて言ってやせんよ。呼んだ方がいいんじゃないんですかって提案しただけでさァ」
「屁理屈いってんじゃねェよ!!」
『土方、総悟』
しょうもない喧嘩をし始めた二人に海が声を掛ける。ピタリと言い合いを止めた二人は海をじっと見つめた。
『近所迷惑だから騒ぐな』
「おめェはそれしか頭にねぇのかよ!もっと他になんか言うことねぇのか!!!」
『ふんどし仮面は?』
「そうじゃねぇ!!!!!!」
的外れな質問を繰り出す海に土方は地団駄を踏むように畳を踏む。今度は人様の家の畳を傷ませるなと海に怒られ、土方は口元を引き攣らせながら怒鳴り散らすのを耐えた。
「海、俺には?」
『……なんだよ』
「俺も心配したんだけど?」
『悪かった』
「そうじゃなくて。ほら、なんかあんだろ?うん?」
腕の中から逃げようと藻掻く海をより一層抱きしめる。周りの奴らに聞こえないように海の耳元で囁くように聞いた。
『……り、がと』
「どういたしまして」
消えかかりそうな言葉を掬いあげ、満面の笑みで返してやれば、海は恥ずかしそうに顔を隠した。
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