第17幕
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「第30回、チキチキふんどし仮面を捕まえろ大作戦!」
レストランから場所を変えて今は新八の家の道場。
海はふんどし仮面を捕まえようと盛り上がっている人達から少し離れたところに腰を下ろして黙って見つめていた。
第30回とナンバリングがついてるところからして、ふんどし仮面を何度も捕まえようと奮闘したのがわかる。
手に武器を持ち、今日こそはと意気込むお妙たちの顔は歴戦の勇士のような屈強さが見えた。
『ふんどし仮面一人にここまでしないといけないのか』
相手は盗人といえども、普段は他の町民と変わらない生活をしているだろう。己が属している真選組みたいに毎日刀を握って稽古をしている訳でもない。自分や銀時のように、過去に戦争に従事ていたわけでもないはず。
言ってしまえばただの一般人。そんな相手に何度も逃げられるという事実。
『……アイツら恥ずかしいと思ってないのか』
皆で集まって作戦会議を眺める。その中に土方が混ざっているのが見えてギョッとした。なぜあの男も参加しているのか。
『山崎』
「はい!どうされました?」
道場の天井で待機していた山崎を呼びつければ、音もなく海の横に降り立った山崎。
『なんでここに土方がいるんだ?仕事は?』
「なんか副長ももらったらしいですよ、下着。仕事の方は終わってるみたいですけど……」
土方と共に総悟もここにいる。真選組のトップがここに集結しているのだ。屯所に残された隊士達は大丈夫だろうか。
『屯所は平気なのか?』
「はい。今のところはなんも異常は見当たりません」
『そうか。ならいいけど』
平隊士しかいない屯所にこの間みたいに攘夷浪士が攻めてきたなんてことがあってはならない。山崎に屯所の警戒レベルを上げるように一言添えた。
「なんだか海くんの方が副長みたいだね」
『俺はそんなめんどくさそうな役職にはつきません』
平隊士で十分だと呟くと、山崎は少し残念そうな顔をしていた。そんな顔されてもやらないものはやらない。プレッシャーには弱い人間なので、重たい責任が常に付きまとう副長なんてやりたいとも思わない。
まぁ、アイツの補佐に回るくらいなら……なんて最近思い始めている自分がいて少し萎えた。
「海さん!」
山崎が屯所に戻った後、作戦会議が終わったのか総悟が海の元へと駆け寄る。その手には白いハチマキらしき布を手にして。
『どうした?』
「海さんもふんどし仮面捕まえるの手伝ってくだせぇ」
『あぁ、それは構わねぇけど』
「ならこれ巻いておきますね」
正座している海の後ろへと回り、手にしていたハチマキを海の頭へと結ぶ。
そういえば頭はダメなんだっけか。なんて思い出した海が総悟にハチマキを外して欲しいと声をかけようとしたが、既にハチマキは結ばれてしまっていて、満足気な総悟の顔を見てしまった海は開きかけた口を閉じた。
「髪伸びましたね。切らないんですかィ?」
ハチマキを結び終えた手が海の後ろ髪を梳く。
『もうそろそろ切るけどな』
「海さんのロン毛も気になりやすけどね」
『俺のロン毛なんかダサいだけだって。土方みてぇに凛々しくみえれば別だけどよ』
昔の土方は髪が長かった。よくその髪で遊ばせてもらった記憶がある。総悟の姉のミツバに三つ編みを教えてもらっては、土方の髪を借りて編んでいた。あれは楽しかったなぁなんて笑っていたら、不機嫌そうに海を見る目と目が合った。
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