第17幕
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『下着泥棒……か』
「あんな女の下着を盗もうとするヤツなんざコイツくらいしかいねぇだろ」
ゴリラみてぇな女の下着、他に誰が欲しがるんだよ。と付け足すと、海は冷めた目で近藤をみやる。未だに立ったまんまだった海にとりあえず座んなさいよと声をかけ、自分の隣へと座らせた。
『仕事サボって何してるのかと思ったら……そんなことしてたんですか?』
「ち、違うから!俺じゃないから!!」
無表情で近藤に問い掛ける海。必死に弁明しようと近藤はテーブルから這い出てきて、身振り手振りと忙しなく動いたが、そんなの今の海には通用しなかった。
そりゃそうだろう。お妙のケツを追いかけてこんなところまで来て、ここの客にまで迷惑をかけたのだから。そのせいで海は店員に怒られてしまった。
先程、レジ対応の店員に頭を下げていたのがその理由。近藤を迎えに来た海に早くあの男を連れて帰ってくれと強く言われた海はひたすら謝っていた。
あそこで止めに入らなかったらあの店員はヒートアップしていただろう。自分が海に近づいた時には既に海を睨みつけてキレていたのだから。
『頼むから人様に迷惑をかけるのだけはやめてくれ』
お願いだから。と呟く海が不憫で仕方ない。お妙のみならず、今日は赤の他人にまで不愉快な思いをさせたのだ。いつも優しく諭すように注意する海だってキツく怒る。
海に怒られた近藤はこくりと頷いて大人しく新八の隣へと腰を下ろした。
「で?アンタやったの?」
お妙の下着を盗んだのは本当に近藤なのかと再度確認を取るために意気消沈している近藤へダルそうに投げかける。近藤はクワッと目を見開いて「断じて違う!」と否定。そしてその声の大きさにまた客から迷惑そうな顔を向けられた。
「侍が下着泥棒なんて卑劣なマネするわけねぇだろうがよ!」
「侍がストーカーなんてするわけねぇだろうが」
「ストーカーはしても下着ドロはするか!」
『近藤さん、もうちょっと声を抑えてくれ。話してる内容が内容だから』
「あ、ごめん」
ほんとにコイツは学習能力が無いというかなんというか。こんな感じでいつも海に迷惑かけてるのかと思うと、苛立ちを通り越して呆れてしまう。海ももう慣れてしまったのか、一々怒ることもせず、淡々と注意するだけ。むしろ注意するだけ無駄だと思っていそう。
『本当にやってないんだな?』
「神に誓ってやってない!」
真意を探るためにじっと近藤の目を見つめた海。部下からこんなに疑われる上司ってのも頼りなさすぎるだろう。
『ならあの新聞記事のヤツが怪しいな』
「ふんどし仮面とかってやつか?」
『ああ。最近出てきたらしくてな』
そういえばそんな様な記事を見た気がする。サラッと目を通しただけだったから細かい内容までは覚えていないが、「怪盗、ふんどし仮面」という見出しで、でかでかと書かれた記事。
「海も見ただろう。今日の新聞に書かれていたのを」
『ふんどし仮面……のことでしょう?』
「そうだ。そいつがきっとお妙さんの勝負下着を盗んだのだろう!なんと羨ましい!!」
「もうこいつが犯人でいいんじゃないか?」
見たことも無いふんどし仮面よりも目の前のこの男の方が怪しくないか?と海に問えば、微妙な顔で間を置いてゆるゆると首を横に振る。一応否定はしてみたものの、疑わしいと思っている部分もあるのか微妙な顔つき。
『それじゃ冤罪になるから却下。別に犯人がいるのであれば何か対策を講じないと』
そう言って考え込む海を新八と共に見守る。近藤は自分が犯人ではないと信じてくれたのかと喜び、海に向かって両手を伸ばして抱きしめようとしていた。
「銀さん、やっぱりこの人が犯人ですよ」
「それは俺も同意見だわ。コイツでいいよ犯人」
新八が近藤の襟を掴んでソファへと戻し、銀時が近藤の股間をブーツで踏みつけて黙らせる。局部を踏まれた近藤は痛みで撃沈してテーブルに突っ伏した。
考え込んでいた海は近藤に起きたことなど知らず、どうしたのだと近藤に声をかけたが、銀時が「どうせ変なもんでも食って腹でも壊したんじゃねぇの?」と言ったことにより、海はそれを素直に信じ込んだ。
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