第17幕
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結局、最初に持ちかけたお妙の下着ドロの解決策など銀時から提案される訳もなく、これ以上こいつらと話していても無駄だと悟ったお妙は神楽を引き連れてレストランを出ていってしまった。
「マズイよ……最強コンビがユニット組んじゃったよ」
「ほっとけよ。犯人の目星はもうついてるだろう」
「えっ?一体誰……」
気だるそうに銀時は空になったパフェグラスをスプーンでくるくると回して弄ぶ。
犯人が分かっているならなぜ教えてくれないんだ。最初から心当たりがあるならお妙に言ってやれば良かったのに。
そう言い出そうと口を開いた新八の足に何かが触れる。うん?と首を傾げながらテーブルの下を覗き、足に触れたものを確認する。新八の顔は一瞬にして気持ち悪いものを見てしまった、と歪んだ。
「銀さん、本当にこの人って海さんの上司なんですか?海さん本当にこの人の下で働いてるんですか。なんでこんな人の下で働けるんですか?」
「知らねぇよ。何度もアイツに転職しろって言ったけどきかねぇんだよ。俺だってこんなストーカー野郎の下に居させたくないわ。ウチに永久就職してほしいくらいだわ」
「それもそれで不安が残りますけど……この人の下よりかはマシですね」
テーブルの下に蹲るようにして居座っていたのは、海が務めている真選組のボス、近藤。顔を上げた新八が明後日の方を見ながら海を哀れんだ。
「あれ?バレた?まさか……でも、やっぱバレた?うわっ、ほんとにバレてる」
ブツブツと足元で呟いている近藤に二人は無視を決め込む。
やはり犯人は近藤なのだろうか。ストーカーだけでは飽き足らず、盗みまで働くようになったのか。どこまでこの男は自分の姉に対して罪を重ねていくのか。ひっそりと不安と憤怒を揺らめかす。
これからどうしたものかと悩み始めた新八の耳へと、レストランの呼び出し鈴が聞こえた。昼頃だというのによく客が入る店だ。店員さんもさぞ忙しい思いをしているだろう。自分も短い間だったが、接客業をしていたことがあるからその大変さはよく分かった。
「あれ?海?」
「え?海さんいるんですか?」
暇そうに窓の外を眺めていた銀時が、レストランの入口の方を見て首を傾げる。新八も銀時と同じように入口の方へと振り返ると、確かにそこには海がいた。
レジ対応している女性店員に話しかけている海。どうしたのだろうかと銀時と黙って見つめていると、迷惑そうな表情を浮かべた店員に何かを言われて、海が申し訳なさそうに頭を下げた。
「どうしたんですかね、海さん」
「……ちょっくら行ってくるわ」
頭を下げ続けている海の元へと銀時がゆっくりと歩み寄る。肩に手を置いて話しかけられた海は、銀時の顔を見て少しほっとしたように微笑んだ。
それから海と店員と銀時の三人で一言二言話してから、銀時は海を連れてテーブルへと戻ってきた。
「おい、ゴリラ。てめぇ、どれだけ部下に迷惑かけりゃ気が済むんだよ」
「やっぱ怒られちゃったんですか?」
店員のあの顔を見れば察するというもの。海が頭を下げていたのは近藤のこの行動のせいだろう。他の客に迷惑をかけていると注意されたのだと苦笑いをした海。銀時はしゃがみこんでテーブルの下にいる近藤の胸ぐらを掴んで揺さぶった。
『ごめんな、騒がしくて』
「気にしないでください。僕は大丈夫なんで」
『近藤さんはちゃんと連れて帰るから』
「その……お疲れ様です」
少し疲労の見える海に労りの言葉をかけてみれば、ふにゃりと柔らかい笑みでお礼を言われた。
『ありがとな。そういえば、なんでこんなところで集まってるんだ?さっき神楽とお妙さんにも会ったけど……なんかあの二人やけにやる気に満ちてたし』
「実は──」
何かあったのか?と不思議そうにする海に、先程銀時にした話を聞かせた。海はただ静かに新八の話に耳を傾けた。
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