第16幕
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「祭りの神が降臨なされたぞ!!勝利は我らの手にあり!!」
楽しみにしていた祭りをめちゃくちゃにされたせいでキレた総悟と神楽が怒りに任せてカラクリをどんどん破壊していく。
その姿を見て近藤が勝利を確信して喜んでいた。
『なんだよ……祭りの神って』
「知らねぇ。いにしえのなんとかって言ってたぞ」
カラクリを壊している内にいつの間にか土方と背中合わせに立っていた。自分でカラクリを壊せない近藤は大丈夫なのかと探してみたら、案の定、襲いかかってくるカラクリから逃げ回っているのが見えた。
『なんでもいいけどもう疲れた』
「もう少し気張れ。これが終われば暫くは休めんだろ」
『これが終わったら今度は書類の山だっつの』
「お前はちったぁ休むことを考えろ。この病み上がりが」
『休んでばかりじゃ居られねぇんだよこのマヨラーが』
襲いかかってくるカラクリを倒しつつ軽口を弾ませる。ここが終わればどうせ始末書の提出を上層部から要求されるだろう。下っ端の自分は上層部との直接的関係はあまりないが、近藤や土方はそうは言っていられないだろう。
今回のこの騒動について糾弾されるのは明白だ。上からグチグチ言われるだけでもめんどくさいのに、その上、何枚もの書類を書かされてはストレスが溜まってしまう。書類ぐらいなら自分が肩代わりしてやらなければ。
屯所に帰ったあとのことを考えると自然にため息が出てくる。また徹夜で作業しなければならないのか。
『それよりも今はこの状況を打開しねぇと』
このカラクリたちを操っている親玉がどこかにいるはずだ。晋助に唆されて将軍を襲うように仕向けられたヤツが。
カラクリと隊士たちの間を縫うように走り抜ける。その間にも海へと襲いかかってくるカラクリを壊していくが、このキリのない作業に段々と飽きてきた。
疲れた顔で周りを見渡す海の視界に一瞬だけ映った光景。巻き上がる砂埃のせいでハッキリとは見えなかったが、カラクリと対峙するように立っている銀時がここから少し離れた所にいた。
『あいつ……』
すぐに視界はカラクリによって塞がれてしまい、銀時のことを探すのは困難になった。
きっと銀時がこの騒動を収めてくれる。そんな淡い期待を胸に海はひたすらカラクリを破壊し続けた。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「これで全部か?」
辺りは壊れて動かなくなったカラクリの山。倒れているカラクリから時折、バチッと電気の音が鳴った。
「みてぇだな」
「総悟と万事屋んとこの娘のおかげだな!」
「あんたはなんもしてなかったけどな」
「え?なに??トシ何か言ったか?」
「いや、何も言ってねぇ」
逃げ回っていただけの近藤に冷たい目を向けて軽く貶す土方。近藤は土方の言葉が聞こえなかったのか、何を言ったの?と土方に聞き返すもはぐらかされてしまい、不思議そうに首を傾げていた。
『疲れたな……』
近藤と土方のやり取りをBGMにしながら、海は伸びをして身体から力を抜いた。
『向こうも大事無いみたいだな』
先程、銀時が立っていた方へと目を向けると、銀時はまだそこに立っていた。じっと銀時を見つめる海に銀時が気づいてこちらへと顔を向ける。
軽く上げられた銀時の手。海も同じように手を上げると、遠目からでもわかるほど、銀時が疲れた顔をしているのがわかった。
そんな銀時の傍に寄る子供たち。彼らがついているのであれば大丈夫だろう。銀時が子供たちへと意識を向けたタイミングで海は彼らに背を向けた。
"次は連れていくからな。覚悟しておけ"
晋助が海に向けて放った言葉。その言葉が頭から離れずに残っていた。
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