第16幕
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「大丈夫か?」
『おう……なんともない』
晋助が去ってから暫くして銀時はホッと安心したように安堵の色を見せた。海も持っていた刀を鞘へと戻し、張り詰めていた緊張感を緩める。
ふと、己の利き手を見遣やれば、小刻みに震えていた。友人に刃を向けてしまったという恐れが今になって海を襲う。カタカタと震える右手を反対の手で抑える為に掴む。早く治まれと力強く握っていると、銀時が海の右手を柔らかく包むように握った。
「震えてんじゃねぇか」
『すぐ治まるから気にすんなよ』
気にしなくていい。と再度言葉にしたのだが、銀時は海の言葉を無視して握り続けた。
『晋助は……さっき何を言おうとしてたんだ?』
去り際に聞こえた晋助の言葉。銀時が遮ってしまったから最後まで聞き取ることは出来なかったが、確かに晋助は何かを言っていた。何となくだが、晋助は銀時に対して怒りを向けていた気がする。
「さぁ?どうせ海を誘拐したいから何か甘言でも言おうとしたんじゃねぇの?」
『なんでそんなに連れていきたいんだよ。鬼兵隊に入れるなら銀時の方がいいだろ』
戦力的にも精神的にも銀時の方が自分よりもずっと優れている。そう言った海に銀時は目を丸くし、盛大なため息をついて頭を抱えた。
「あー……あのねぇ?アイツは……あ"ー……」
『なんだよ』
「いや、なんでもねぇわ。それより海、向こうはいいのか?」
銀時が指さしたのは将軍がいる
離れていく海の手を名残惜しそうに銀時は見つめていたなど、海は気づかずに。
『悪い、銀時。ちょっと行ってくる』
「おう、気をつけてな」
緩く手を振って海を送り出す銀時。その顔は少し寂しそうに見え、走り出そうとした足を止めた。
『銀?』
「ん?どうしたの?」
『なんか……あったのか?』
「うん?なんもないよ?」
へらりと笑う銀時に違和感を感じる。何か隠しているのではないか。ちゃんと話を聞くなら今しかないだろう。
だが、今の海には銀時と長話をしている余裕はない。
銀時と将軍を天秤に掛けて悩み始めた海に、銀時は背を向けて歩き出した。
「早く行かないとお仲間さんたちに怒られちまうんじゃねぇか?」
『銀時!』
「俺は大丈夫だから。早く行っておいで」
ひらひらと手を振って去っていく銀時。すぐにでも追いかけて問い詰めるべきなのだろう。だが、海は暫し悩んだ後、銀時に背を向けた。己の職務を放棄するべきではない。悩んだ結果、そう結論づけた。
あとで、落ち着いた時にでも銀時に聞いてみよう。頭の片隅に銀時が浮かない顔をしていた理由を聞くという予定を入れて、海は近藤たちの元へと向かった。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
急いで現場へと駆けつけると、そこには何体ものカラクリが動き回り真選組と争っていた。
「ウソー!!名刀、虎鉄ちゃんがー!!」
『近藤さん!』
「海!!無事だったか!てか、海ー!俺の虎鉄ちゃんがー!」
ポッキリと無惨にも折れた近藤の刀。折れた刀身を拾ってえぐえぐ泣いている近藤の頭を殴ろうと動くカラクリ。
『てめぇ、なにうちの大将に何してんだよ』
刀を抜いてカラクリへと突き刺す。狙うは頭と胴体の繋ぎ目。刺さった刀を180度回転させて頭を吹き飛ばした。
「え、なんで海そんな簡単に倒せるの?え?なんで。」
『カラクリと言えども弱点はあるはずだ。そこを叩けば簡単に壊せますよ』
近藤の折れた刃を拾って鞘の中へと戻してやる。もう近藤の刀ではカラクリを壊すことは出来ないだろう。
『土方!近藤さんを頼んだ!』
「あっ、おい!」
近くにいた土方に近藤を頼み、海はまたカラクリへと刃を向ける。
『なにがつついただけだよ……完全に火がついてるじゃねぇか!』
晋助が放った言葉以上のことになっているこの現状。いくら斬っても減ることの無いカラクリに隊士達にも疲れの表情が浮かび始めていた。
『どうすればいいんだよ……って、総悟?』
どこからが爆発音が轟き周囲のカラクリが吹き飛ぶ。その方向へと目を向けると、総悟と神楽がカラクリを足蹴にして立っていた。
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