第2幕
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土方と銀時の攻防をじっと見つめる海。どこか楽し気に刀を振るう土方に呆れていた。
以前、町民から寄せられた文の中に最近の真選組の対応に関する意見があった。覚えているものはどれも好感をもたれているようなものでは無かった。
副長である土方がこれなのだ。下についている部下たちの所業も手に取るように分かってしまう。海はこれからの真選組の在り方について一人頭を悩ませた。
「土方さん、危ないですぜ」
「「うん?」」
そんな時、不意に聞こえた声に土方と銀時、海が声の方へと目を向けた。銀時と土方は首を傾げて突然現れた少年を見つめたまま固まる。海は彼の持っている物を見た瞬間に嫌な予感を感じてその場から離れた。
『メガネ、それにそこの女子。少しここから離れろ』
「え?」
「アイツバズーカ持ってるアルヨ」
『ったく、あんなもん使って壁でも壊してみろよ……また俺らの評判落ちるだろうが』
積み重なっていく書類を思い浮かべた海はズキズキと痛みだした頭を手で押える。これ以上被害を拡大しないで欲しいと願う海の思いも虚しく、ピピッという電子音が廊下に響き渡った。
総悟が放ったバズーカは土方と銀時の元へ一直線に飛んでいく。爆発音と舞い上がる爆煙の中から銀時が命からがら飛び出してくると、側で突っ立ていた海の腕を手に取り、近くの部屋へと逃げ込み立てこもった。
何故自分まで立てこもる必要があるのかと疑問に思う海を余所に、桂と銀時の言い合いを静観する。爆弾の単語に海の眉がぴくりと上がるが、何も言わずに黙って話の行く末を見守った。
「薄汚れたのは貴様だ、銀時。それに海、お前もだ」
『俺もかよ』
「久しぶりの再会だというのにお前のその格好はなんだ!なぜ奴らと同じ服を着ている!噂で貴様が幕府の犬になったと聞いていたが本当に真選組に入っていたとは……もう何してんのよこの子は!」
『別に犬になった訳ではねぇよ。自分の意思であそこにいるだけだ。しかもなんでお母さん口調なんだよ』
「それが犬になったと言っているのだ!恥ずかしくはないのか!?共に戦い、朽ちていった仲間たちに顔向けができるのか!?かつて、蒼き閃光と呼ばれたお前が、そこまで落ちゆくとは!それに俺はお母さんではない、桂だ!」
『うるせぇな。俺が何をしようと関係ないだろう。お母さん』
憤慨する桂に海はなんと返そうかと思案するも、桂の興味は既に違う方へと向いていて、海が説明する暇もなかった。
本来なら再会した事に喜ぶところなのだが、きっと海が身にまとっている服のせいで素直に喜べないのであろう。
かつて敵対していたはずの幕府の元に居るのだ。海も桂と銀時に再会したこと自体はとても嬉しく思うが、立場上公に出来ぬ仲。真選組の仲間にバレるようなことがあれば、海の首は飛ぶだろう。
さーっと血の気が引いていくのを感じた海。そして小さくカチリと聞こえた音が聞こえて俯いていた顔を上げる。
チャイナ服の女子が誤って爆弾の起動スイッチを押してしまった瞬間だった。
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