第15幕
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ふらりと歩き回っている海の目と耳に飛び込んできたもの。顔を上げて空をみやれば、一面の花が咲き誇っていた。色鮮やかな花が散ってはまた咲き誇り、一瞬にしてまたその花は花弁を散らしていった。
『花火か……そいういえば上げるって言ってたもんな』
近藤が花火が上がるから見るといいよと笑っていたのを思い出す。将軍の護衛なのだから手抜きは許されないはずなのだが、護衛の任から外された海であれば、空を見上げて花火を見るくらい許されるはずだ。
そんな近藤の意図に気づいた海はふふ、と口角を上げた。
確かに少し立ち止まって夜空に浮かぶ大輪に現抜かすのもいいだろう。
黙って空を見上げていると、どんっと足に何かがぶつかる。何かと思い下を見ると子供が海にぶつかり、その衝撃で尻もちをついて泣いていた。
『大丈夫か?』
「だ、だいじょ……うっうう」
『あぁ、泣くな泣くな。男の子だろ?ほら、痛くない痛くない』
服についた土を払い、頭を撫でてやると男児は泣かぬように頑張っていた。
『ほら、ハンカチ貸してやるから。あまり目を擦ると痛くなるぞ?』
「うん……ありがとう!」
ハンカチで涙を拭いて人混みの中へと走っていく男の子の姿を微笑ましく見送る。その視線の先に見慣れた銀髪がいるのが見えた。
『なんだ、銀時もいたのか。神楽と新八がいるから当然といえば当然か』
花火を見ている銀時に声をかけようと近寄る。あと数メートルというところで、銀時の背後にぴったりとつくようにして立つ男が現れた。やけに派手な着物に身を包む男は何やら銀時と話をしている。
知り合いか?と思い、今声をかけるのは無粋だなと控えた。自分も花火でも見るかと再度顔を上げた時、鋭い殺気を感じた。急いで辺りを見渡すが怪しいものはいない。
目の前の2人を除いて。
銀時の背中に刀を押し付ける男。
身動きの取れない銀時はただ黙って男に耳を貸している状態。
何をしているんだと声を出そうとした瞬間に聞こえた爆発音。確か時間的に今はカラクリの見世物が行われているはずだ。こんな爆発が起きるなんて聞いていない。
『……何が起きてんだよ!』
悲鳴をあげながら逃げ惑う市民の中を掻い潜るようにして銀時たちの元へと急ぐ。こんなところで刀なんて振り回されたらようじゃない。
『おい!そこのお前、何してやがる!』
「海!?」
『この時代刀の所持なんて許されてねぇはずだが?』
「……海……か?」
「海!逃げろ!」
銀時が海の方を振り返って叫ぶも、その声は海には届かなかった。いつの間にか周りにはもう人はおらず、銀時とその男だけが残されていた。
「元気そうじゃねぇか……海」
男が振り返り海と目が合う。極悪な笑みを浮かべてこちらを見る男は、かつて仲間と呼んで互いに背中を預けて共に戦った人物。
『晋……助……』
高杉晋助、その男だった。
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