第15幕
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「それから、こいつは未確認の情報なんだが。江戸にとんでもねぇ野郎が来てるって情報があんだ」
『とんでもない野郎?またハタ皇子か?』
「ちげぇよ!なんであいつなんだよ!あいつもあいつでとんでもねぇけど、そんなレベルの話じゃねぇよ!」
『違うのか。あいつは嫌いじゃないんだけどな』
あの天人には一度誘拐されかけた経験がある為、機会があったらあのアンテナみたいに立ってる触覚をむしり取ってやろうと思っていたのだが、どうやらそのとんでもないヤツはハタ皇子では無いらしく、残念そうに海は肩を落とした。
「とんでもねぇヤツ?一体誰で?」
脱線しかかった話を総悟が元に戻す。ハタ皇子以外にとんでもないやつとは一体誰なのか。皆が、神妙な面持ちで土方の次の言葉を待った。
「以前、料亭で会談をしていた幕吏十数人が皆殺しにされた事件があったろう。あれはヤツの仕業よ」
『(ヤツ、ね)』
土方が瞳孔開きまくった目で隊士達を見据える。土方のいう"ヤツ"。今度は冗談抜きで、その男のことを思い浮かべる。
最後に見た彼の顔は驚愕。喉が張り裂けるのではないかという程、海の名前を呼んで手を伸ばしていた。
あれから彼とは会っていない。否、会えない。自分は幕府に仕えている忠犬。向こうはその幕府相手に戦争を持ちかけようとしている。そんな状態で会おうものなら殺されても文句は言えないだろう。
例え、同じ場所で学を学び、幼なじみとして共に育った仲だったとしても。
『(頼むから……何もしないでいてくれよ。俺はお前を捕まえたくなんてないんだから)』
かつて仲間と呼び、肩を並べて戦った彼をこの手で捕まえたくはない。でも、真選組として身を置いている以上は彼と敵対関係にある。そんなジレンマがグルグルと頭の中で回り、思わず頭を抱えた。
「おい、海。人の話を聞いてたのか?」
『あ?あぁ、悪い。ちょっと考え事してた』
「ったく、大丈夫か?無理してんなら──」
『してない。土方、ちょっと俺のことを甘やかしすぎだ』
「別に甘やかしてなんかねぇよ。ただ、」
そこで区切って土方は海から顔を背ける。その先を中々言葉にしない土方に海は頭の上に疑問符が飛び交う。そんな二人をじっと見つめていた総悟がにやにやと怪しげな笑みをしていた。
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