第15幕
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宵闇の橋の上で男が一人、笠で顔を隠して静かに座している。そんな男に近づく派手な着物に身を包んだ男。艶めかしい雰囲気を醸すその男も笠を被っていて顔を見ることは出来なかった。
「誰だ?」
「フフッ……ヅラ。相変わらず幕吏から逃げ回っているようだな」
「ヅラじゃない、桂だ。なんで貴様がここにいる?幕府の追跡を逃れて、京に身を潜めていると聞いたが」
「祭りがあるって聞いてよ。居ても立ってもいられなくてなって来ちまったよ」
「祭り好きも大概にするがいい。貴様は俺以上に幕府から嫌われているんだ……死ぬぞ」
この男の祭り好きは昔も今も変わらないらしい。確か海も祭りが好きだったはずだ。こいつと海の二人によく、銀時と共に振り回されていたのをよく覚えている。
「よもや、天下の将軍さまがまいられる祭りに参加しないわけにはいくまい」
「お前……なぜそれを?まさか……」
「フフッ……そんな大それたことをするつもりはねぇよ。だが、しかしおもしれぇだろうな。祭りの最中、将軍の首が飛ぶようなことがあったら……幕府も世の中もひっくり返るぜ。フフフッ……」
ニヒルな笑みを浮かべる男からは全て本当にやるつもりなのではないかと思わせるほどの雰囲気だった。この男はまさかその為に京からわざわざ江戸へと来たのかと冷や汗が垂れる。
この男ならやりかねない。そう思ったが、桂の脳裏に別の幼なじみの姿を思い浮かんだ。
「それは無理な話だな」
「あ?」
「将軍が出るのであれば真選組も出るだろう。やつがあそこにいる限りは将軍の首など飛びやしない。諦めた方がいいだろう」
「ヤツ……だと?」
「あぁ。俺もお前もよく知る男だ」
真選組の隊服に身を包む男。
銀時とは違ってきちんと仕事をこなすやつだ。あの男がいるかぎりは将軍の首が飛ぶなど夢のまた夢。現実味を帯びない。
「……お前、何言ってやがんだ?ついに頭が悪くなっちまったのか?」
「貴様……知らないのか?」
海が生きていることを。
そしてあろうことか真選組にその身を置いていることを。
怪訝そうにこちらを見る男、高杉は桂を見下ろしながらこちらへと体を向ける。その時に見えた二つの刀。片方は高杉の愛刀。もう一つは……。
「おめぇ、何隠していやがる」
あの戦場でよくみた刀。海が使っていた月銀(つきしろ)だった。
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