第14幕
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「土方さん!」
「急いで海を探せ!」
「へい!」
パトカーを適当な場所に停めて屯所へと走る。鍵を締めた屯所の戸は見るも無惨に壊されていた。
攘夷浪士達が中へと侵入しているのは明らかだ。早く海を見つけて屯所から脱出させなくては。まだあいつは本調子ではない。大人数で襲われでもしたらひとたまりもないだろう。
「総悟、お前は海の部屋にいけ!俺は食堂の方をまわる!」
攘夷浪士が居るはずなのにやけに静かな屯所。もしかしてもう海を見つけて人質にでもしているのか。嫌な考えを振り払うように土方は屯所内を走り回った。
「海!いるなら返事をしろ!」
手当り次第襖を開け放ち部屋の中を見て回る。それでも見つからない姿を血眼になって探した。
「海!」
荒い息を吐きながら食堂にたどり着き中を見渡すも、海の姿は見えない。
「クソっ……どこにいるんだ!」
苛立ちを拳に乗せて壁へと叩きつける。もしかして、と考えてしまう自分に嫌気がさした。
入口から食堂までの道は1本しかない。ここまでで見つからないのであれば、道場や副長室、または会議室の方へと行っているかもしれない。海が攘夷浪士に捕まったとはまだ決まっていない。
まだ……諦めたわけじゃない。総悟があいつの部屋の方を見ているはずだ。部屋にまだいれば総悟が見つけているはず。
そうだ、まだ諦めるには早い。まだ探していない場所がある。他の場所を探すべく、土方は食堂を後にしようと廊下へと戻った。
『あれ、土方?』
「海……?」
『えらく早いお帰りだな。仕事は済んだのか?』
食堂から出た瞬間、今一番聞きたかった声で名前を呼ばれる。慌ててそちらへと顔を向ければ、少し着崩れた寝巻き姿で立っていた。軽い口調で『お疲れさん。毎度毎度大変そうだな』とどこか疲労の見える顔で笑う海。
なんであれ海は無事だった。その事実に安心した土方は一気に脱力してその場に膝から崩れ落ちた。
『お、おい!大丈夫か?』
「無事で、良かった」
絞り出すように喋る土方に海は眉を顰めたが、言葉の意味を理解した途端、土方を安心させるように微笑んだ。
『なんともねぇよ。全員、眠ってもらったから』
「……は?」
『全員大人しく寝てる。疲れて帰ってきてるところ悪いんだが、あの男共を牢屋に入れるの手伝ってもらってもいいか?』
コイツは何を言っているんだ?と海を凝視する土方。海は凝視されているのも気づかずに、男たちをすし詰めにしている部屋へと歩き出した。
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