第2幕
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さて、この状況一体どうすべきか。何も考えずに彼らに着いてきてしまった。
逃げ惑う彼らの背をぼけっと気の抜けた顔で見つめていると、銀髪の男が走るスピードを落として海の隣へと移動する。そしておもむろに海の手をガシッと掴んだ。
『おい、なんだよ』
「どっか行かねぇように掴んでんの!お前、方向音痴だからすぐにいなくなるだろ。てか、お前なんでその格好なんだよ!久しぶりに会ったと思ったらその格好はなんだよ!コスプレか何かですかコノヤロー!」
『コスプレだったらもっとマシなもん着るわ』
「銀さん!その人知り合いなんですか!?てか、その人真選組の人じゃないですか!」
銀髪の男、もとい坂田 銀時に腕を引かれながら廊下を走る。掴まれている手を振り払おうとしたのだが、力強く掴まれた手は外れるどころか益々掴む力が増してしまった。
「あれだ!こいつは腐れ縁だ!」
『腐りすぎて脆くならねぇかな。もう少ししたら切れそうじゃないか?』
「お前はそんなに切りてぇのかよ!」
『いや、別に。切れてもいつの間にかボンドでくっつきそうだなと』
「ちゃんと修正してくれる海くん素敵!」
『とりあえず前見て走れよ』
テロ犯として追われている身であるのにも関わらず呑気に喋る銀時に海は今日何度目かのため息をついた。自分も巻き込まれてはかなわない。そう思って前方を指差す。
海が指さした方へと向いた銀時は慌てて足を止める。廊下の突き当たりで右に行くか左に行くかと悩んでいる銀時。その後ろから迫り来る殺気に気づいて振り返るが、既に眼前へと刀の切っ先が迫っていた。
「おい」
声をかけられた銀時が咄嗟に後ろを振り返り、振り翳された刀を避けるべく海を抱え込むようにして体勢を低くした。
『俺は別に追われていないから避ける必要ねぇんだけど』
ぼそりと海が呟いた言葉は誰の耳にも届かずに消え失せる。土方の刀が壁に突き刺さるのが見え、海の頭の中に損害賠償という言葉が浮かんでは消えた。
「逃げることはねぇだろう。せっかくのケンカだ、楽しもうや。つか海てめぇなんで一緒に逃げてやがる」
『犯人により身柄を拘束されてんだよ』
「犯人!?俺がいつ罪を犯したんだよ!つーか、こいつホントに役人か?よく面接通ったな。瞳孔開いてんぞ」
「人のこと言えたギリか?てめぇ、死んだ魚の目しやがって」
土方を見据える銀時の腕の中から抜け出した海は銀時と共に居たメガネとチャイナ女子の元へと近づく。銀時と土方のやり取りを見て慌てふためくメガネの肩にぽんっと手を置いて励ました。
「ほ、ほんとに大丈夫なんですか……?」
『多分な』
「多分なんて!そんな曖昧な!」
『大丈夫大丈夫。犬と猫のケンカみたいなもんだから』
「そんな可愛いもんじゃないでしょう!?」
冷や汗を垂らしながら海の肩を掴むメガネの彼に海は何も言わずに微笑んだ。まだ何か言おうとしていた彼だったが、海の笑みに何かを察したのかそれ以上口を挟むことは無かった。
メガネ男子から土方と銀時の方へと目を戻す。土方が壁に刺さった刀を抜いてそのまま銀時に振り下ろそうとしたが、銀時は軽やかにそれを躱して立ち上がる。
「いいんだよ。いざというときにはきらめくから」
「ウソつくんじゃねぇ!」
『あの目がきらめいたときあったか?』
「え、いや……見たことないですね」
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