第14幕
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『……ん』
がたがたとうるさい物音で目が覚める。眠い目を擦りながら体を起こしてぐっと身体を伸ばす。数日休んだおかげですっかり背中の怪我も良くなった。今では仰向けで寝ることもできるようになった。
それでもまだ完治した訳では無いのだからと近藤には仕事をするのを止められている。書類関係の仕事くらいなら出来ると申し出たのだが、土方と総悟にも止められてしまい未だ自室での療養となっている。
『騒がしいな……今日は確か攘夷浪士の検挙するとかって言ってなかったか?』
朝、食堂で土方と総悟がそんな話をしていたはずだ。近藤に至っては、上層部の人達との会合があるとかで今日1日屯所に戻って来れないと涙ぐみながら海にごめんな、ごめんなと謝っていた。
近藤も土方も総悟も、他の隊士たちも出払っている屯所。残っているとしたら自室療養している海だけ。
それなのに、バタバタと屯所内を走り回る足音が聞こえる。それもかなりの人数が。
布団から飛び起き、側に置いてあった刀を手に取る。隊服に着替えようか迷っていた海の耳に話し声が聞こえた。寝巻きのまま襖を少し開けて外の様子を伺う。足音も話し声も聞こえないのをいい事に、海は部屋から出た。
周りを警戒しながら静かに縁側を歩き、いつでも抜刀出来るように柄を握る。廊下の突き当たり、右への曲がり角で見知らぬ男とばったり出会した。
「なっ、誰だ貴様は!!」
『そっちが誰だよ。他人の家に勝手に入ってきて』
「くっ、死ねぇぇぇ!」
突如現れた海に驚いた男は、海へと刀を向ける。切っ先を向けられた海も鞘から刀を抜いて構えた。
刀を振り上げ、上段の構えを取る男に海も刀を握る手に力を込める。いざ、男を斬り伏せようとしたが襖を視界に収めた瞬間、刀を逆刃にし、峰の部分で男の頭を叩きつけた。
『めんどくせぇがこうした方がいいか』
強く頭を叩かれた男は白目を向いて廊下に倒れる。本当は斬り捨てた方が早いのだが、それでは屯所内が血塗れになってしまう。血の汚れは中々落ちない。障子なら張り替えれば済む話だが、柱に染み付いてしまっては取れなくなってしまう。
それを避けるべく、海は相手を昏倒させることを選んだ。
『まずは一人。あと何人いんだよこんなの』
倒れた男を引きずるようにして縁側から移動させ、適当に空いている部屋へと投げ入れた。
それから鉢合わせたヤツから順々に昏倒させていき、最初の男同様に手足を縛って部屋へと放り込んだ。部屋の中にはもう既に15人以上は転がっている。全員、起きる気配もなく静かにしているのが幸いだろう。目が覚めて叫ばれでもしたらめんどくさい事になってしまう。
『どんだけいんだよ……』
ぶつくさ文句を言いながらも一人、また一人相手しては縛る。動き出してからかれこれ1時間が経過しており、久しぶりに身体を動かしたせいで、疲労が溜まっていた。屯所内にあと何人いるのか把握出来ない以上休むことも出来ない。
はぁ、とため息をつく海。その後ろから物音が聞こえて瞬時に振り返る。そこには刀を振りかぶった男が目の前まで迫っていた。
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