第12幕
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「土方さん。俺もあんたと同じでさァ。ここにいるのは近藤さんが好きだからでしてね。でも、何ぶんあの人は人がよすぎらァ。他人のいい所見つけるのは得意だが、悪い所を見ようとしねぇ。俺や土方さんみてぇな性悪がいて、それを呆れた顔をしながらも加担してくれる海さんがいる。それでちょうどいいんですよ、真選組は」
静かに語る総悟の顔は先程より穏やかに見え、ついこちらも静かに聞き入ってしまっていた。
「ふっ……あー。なんだか今夜は冷え込むなぁ。薪もっと焚け、総悟」
「あいよ!」
土方の言葉に頷き、手元にある薪をどんどんくべていく。カエルが苦しそうに呻いているが気にせずに。
「海の方は大丈夫なのか?」
「それがですね、土方さん。海さん、背中に刀傷がありやした」
「刀傷だと?」
「へい。医者によりやすと、ここ最近のものらしいですぜ」
「ここ最近だと?あいつには斬られるような仕事は任せてねぇはずだが?」
「海さんが起きたら問い詰めようと思ってやす」
「あいつが喋る口か?今まで黙ってたんだろ」
数日前に見た海の部屋にあった鎮痛剤。薬で痛みをごまかして周囲に悟られないようにしていたやつが、聞かれたからと言ってそう簡単に喋るとは思えない。
「何がなんでも聞きやす」
「……そうか」
「こんなに近くに居るのに頼って貰えないなんて……嫌なんでね」
総悟の薪をくべる手が止まる。
その瞳は悲しさで揺らいでいるように見えた。
「無理には聞くなよ。あいつが自分で喋らねぇならこっちはこっちで調べる」
「……そうですね」
あいつがなにかに巻き込まれているのであれば俺達が全力でそれを打ち払う。
それは言わなくてもわかること。
きっと近藤さんも同じこと言うだろう。
「寒ィな」
「そうですね」
ぽつりと呟いた言葉に総悟が同意の言葉を返してくる。いつもならそばに居る同じ黒髪がここに居ないだけで、こんなにも寒くなるとは。
とことん俺たちはあいつに依存しているんだなと実感した。
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