第12幕
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近藤が寝ている部屋から一人出て、月明かりが差し込む縁側を歩く。
言いたいことは言ったがこれでよかったんだろうか。副長としてこの選択で間違いはないだろうかと迷う心を払うために警護の任へと戻った。
近藤が倒れているのを見たとき怒りで我を失っていた。その後に海が近藤さんを庇って倒れたのが見えた。その時見えたのは柔らかい笑み。見えた口元は「当たらなくて良かった」と動いていた気がした。
「まったく……なんだってうちの奴らはこんなにも自分を大切にしないんだか」
海に至っては苛立ちを覚えるほどのものである。仕事を大事に思い、最後まで成し遂げようとする志は良しとしよう。だが、自分の身を削ってまでやることではない。
どれだけ止めたってやろうとするやつを誰が止められるというのだろうか。
「やつなら出来んのか……?」
思い浮かぶは銀色の髪。そんなにあの男の素性を知っているわけではないが、ここ何週間の間で海とやつが親しい間柄にあるというのは嫌でもわかった。
海が隠そうとしているのはわかるが、全て裏目に出ている有様だ。銀髪を名前で呼んでみたり、病院にまで付き添ったりしているところを見ると、隠そうとしているのかも怪しく思えるほどに。
「……クソ」
自分達以上に海との関わりが長いというのを思い知らされる。知りたくもないことをあの銀髪が知らしめてくるのだから。
「あいつはうちのだ。悪いがお前には渡さねぇよ」
誰に言うでもない言葉が漂う。ここまで自分が独占欲が強いとは思わなかったが、きっとこれは全て海のせいだろう。今は手当されて眠っているだろう海を思い浮かべながら煙草をくわえた。
「うん?」
夜闇の中で一箇所だけやけに明るい。目を凝らして見てみると、そこには十字架に張り付けられているカエル。もとい、幕府の高官。
その足元には燃え盛る火。そして黙々と薪をくべる総悟の姿があった。
「何してんの?お前!」
「大丈夫大丈夫。死んでませんぜ、要は守ればいいんでしょう?これで敵を誘き出して、パパッと一掃。攻めの守りでさぁ」
薪として使っていた木を禽夜の前に出して振る総悟。
「貴様、こんなことしてただ済むと……モペッ」
振られていた木が気になったのか、禽夜は舌を伸ばして木を掴むと自分の口の中へと入れる。それが口封じとなったのか黙りこくった。
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