第12幕
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「はいよ、これでもう大丈夫だろう。だが、少なくとも数日は安静にしておかないとまた塞がりかかってた傷が開くぞ」
あれから数十分後、近くの町医者が慌てて飛び込んできた。近藤と海を見た医者は頭を抱えたが、彼の迅速な対応により二人はなんとか一命を取り留めた。
「ありがとうございやす」
「なぁに。俺は何もしてないよ。こやつが生命力溢れるやつだったってだけだ」
にっかり笑って出ていく医者に頭を下げてその背中を見送った。静かに襖を閉めて、眠っている海の顔にかかっていた髪を優しく払う。
「海さん……それは誰にやられたもんなんですか」
海の怪我は銃弾によるものだけだったはずだ。怪我の治療をする為に服を脱がして背中を見てみれば、右肩から左側の脇腹にかけて斜めの刀傷が眼前に晒された。塞がりかけているとはいえ、まだ予断を許さない状態だと医者は渋い顔をして呟いていた。
「なんで……言わないんですか。なんで辛いって言ってくれなかったんでさァ」
頼ってもらえなかった悔しさと悲しみで拳を握りしめる。なにより、そんな海の痛みを察してあげることが出来なかった自分の不甲斐なさに怒りを覚えた。
「海さん……待っててくだせェ。あんたが果たそうとした仕事、俺が済ませてきますから」
海が命をかけて守ろうとしたカエル。近藤がどんだけ悪だとしても守れと言った幕府の高官。
自分にとってはどうでもいいことだが、この2人は何がなんでも守ろうとしたんだ。なら、とことん守ってやろうじゃないか。
「クソガマガエルが……」
刀を手に取って立ち上がり部屋を出る。海が起きてしまわぬよう音を立てずに襖を閉めてカエルの元へと向かった。
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