第12幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい、大丈夫か?」
近藤と天人が居なくなったあと、ホッと息を吐いた土方が海の顔を覗き込むように身体を傾けた。
『半分くらいは』
「半分ってなんだ半分って。そんな顔して半分はねぇだろ」
「海さん、ちゃんと部屋で休んだ方がいいですよ。真っ青じゃないですか」
『別にそんなに悪くは無いから』
体調が悪いんじゃなくて、怪我の痛みで困っている。なんて言えたらいいのだが、そっちの方が大事になりそうだから黙っているしかない。
体調くらいで仕事を放り投げるわけにはいかないと、行ってしまった近藤の後を追いかけようとしたが、足が上手く動かせずまた立ち止まってしまった。
「無理すんな。休め」
ふらついた身体を支えてくれたのは土方だった。
「近藤さんがわざわざ護衛を申し出たんだ。お前を休ませる為に」
『そんなの頼んでない。頼まれた仕事くらいはこなす』
「はぁ……そのお前の仕事熱心ぶりがどっかの誰かさんにもあればいいんだがな」
「それは誰のことですかい。山崎ですか?」
そう言って総悟は山崎を指差す。その先には必死にラケットを手に持って素振りしている山崎の姿。護衛任務よりもミントンしてる山崎の方がなぜだが生き生きとしているように見えてしまうのは何故だろうか。
「山崎ィ!てめぇ、いい加減にしろやゴラァ!斬られてぇのか!?」
すぐ横で怒鳴りまくる土方の声に耳が痛む。背中だけでも辛いのに、耳まで痛くさせるのはやめてほしい。
土方の意識が山崎に向いている間にその場を抜け出し、近藤たちの方へと歩き出す。
今度は誰にも止められることなく彼らの元へとたどり着いた。
近藤とカエルの姿が見えて、安堵し二人の側へ行こうとしたが、どうやら近藤とカエルが口論しているらしい。そんな彼らに近づいていいものかと考えていた時、視界の端でキラリと何かが光った。
光が見えた先へと顔を向けると、二人組の男が塔の上からこちらに銃口を向けているのが見えて息を呑んだ。
『まずい!近藤さん!!』
海の声に驚いた近藤だったが、即座にカエルを守るべく盾となった。近藤の機転によってカエルへの被弾は免れたが、その代わりに撃たれてしまった近藤がその場に膝をつく。
慌てて近藤の元へと駆け寄り傷の具合を見る。早く救急車を呼ばなくてはと携帯を取り出そうとした海の手を近藤は掴んだ。
「海!まだだ!!」
『!?』
息を切らして叫ぶ近藤が指差す方向。それはスナイパーがいる方だ。
塔から狙っていたスナイパーが次の弾を入れてこちらを狙っている。カエルを近くの部屋へと蹴り飛ばしたあと、近藤を守るために身を翻した。
「海!!」
ドンッと押される感覚。この感覚は昔に何度か受けたことがある。
『やっば……』
背中の傷だけで精一杯なのに銃弾も浴びたとなるとこの身体はもたないだろう。
近藤の叫び声を聞きながら海はばたりと倒れた。
.