第12幕
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「全くなんなんだお前らは!使えん奴らだな!お前らの部下の方がよっぽど優秀ケロ」
「あ、海さん」
『もう少し気を引き締めて仕事は出来ないのか?』
座り込む総悟達に手を貸して立たせる。仕事中、しかも要人警護という気の抜けない重要案件だというのに副長と一番隊の二人が喧嘩しているなんてシャレにならない。
ちゃんと仕事をするようにと注意したものの、総悟はぷいっと顔を逸らしてしまった。やる気が出ない気持ちは痛いほど分かるが、仕事である以上手は抜けない。
『総悟。わかってんだろ』
「……なんでこんなやつ」
『そういうもんだよ。社会ってのは』
「そんなもん分かりたくないですよ」
『今はそうかもしれないけど、歳とったら分かるようになる』
どれだけ相手がクロだったとしても。捕まえて調べればいくらでも罪を立証することが出来たとしても。
どうせこいつは幕府に守られる。多少は言われるかもしれないが、ただそれだけだ。
「海さんはいいんですか。こんなやつ野放しにしといて」
納得がいかないというように総悟は唇を噛み締めて俯く。その姿が可哀想で声をかけようとしたが、天人のでかい声によって遮られた。
「行くぞ!こいつらに構っている暇なんてないケロ!」
肩に手を置かれたかと思ったらグイッと無理矢理引っ張られる。その瞬間、背中に激痛が走り小さく呻いた。その声に驚いた総悟が顔を上げ、痛みに顔を歪めている海を見て目を見開いた。
「海さん!」
『騒ぐな、大丈夫だから……多分』
今すぐにでも座り込みたいのを我慢し、天人に引っ張られるがまま足を動かす。いい加減その手をどかせと言いたかったが、土方と総悟が騒いでいたせいで天人の機嫌が悪い。その上で自分まで文句を言おうものならこのクソガエルは隊士たちの言うことを聞かなくなる恐れがある。
そうなったら護るどころの話では無い。
「早くしろ。私だって暇じゃないんだ。お前以外の奴らは使い物にならないケロ」
肩に置かれている手にグッと力が込められる。期待を込めて相手はやっているのだろうが、こちらとしては拷問でしかない。
ふらつきそうになるのを耐え天人の背を追う。一歩、二歩歩いたところでピタリと足を止めた。
いや、止めざるをえなかった。
「すみません。なんだかウチのが体調悪そうなんで休ませていただけませんかね」
視界いっぱいの黒。海と天人の間に入り込んだ近藤がははは、と笑いながら天人に交渉していた。
「何言ってるケロ!お前らの中で唯一使えるやつケロ!体調なんかどうにかしろ!」
「てんめぇ、黙って聞いてれば……」
「トシ。やめろ。禽夜様、その代わりにとはなんですが、自分が護衛としてお供しますので」
「お前みたいなゴリラ使えるわけないケロ!こっちはこんな事になって仕事が溜まってるんだぞ!」
「そこをなんとか」
仕事仕事と言う割にはこのカエルは何もしていない。部屋にいてもウロウロと動き回っているだけで本人は何もしていなかった。カエルがやるべき仕事を海に押付けていたから。
『近藤さん……』
「いいから。護衛は俺がするから海は休め。そんな顔してフラフラしてたら心配するだろ?」
ぽすっと頭の上に近藤の大きな手が乗り、何度か頭を撫でてから近藤は天人の後を付いて行った。
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