第11幕
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「おい、海。どこにいやがる」
拾っても拾っても減ることの無い紙。その中に埋もれるようにして寝ているのか。そんなんでゆっくり休めるわけもない。こんな所で寝るよりも別の部屋で寝た方がいい。部屋にこもりきりで掃除がされていないのか、本棚には薄らとホコリが積もっていた。最近の忙しさで換気もしていなかったのだろう。
『……ん』
「海?」
どこからか小さく呻く声が聞こえて耳をすませる。声が聞こえた方へとゆっくりと進みながら、床に落ちている書類を拾い集めていく。持っていた書類を机の上に置いた時、かつんっと何かが手に当たった。
「なんだこれは……痛み止め?」
おもむろにそれを手に取ると中からカプセルが出てきた。ケースの裏には薬の名前と病院の名称。普段薬を飲むことの無い土方でも知っている痛み止めだ。
そんなものが何故ここに?
「痛み止めを飲まないとやってられないくらい体調が悪いなら休めよ」
うつ伏せで寝ている海は倒れているように見える。布団を敷く暇もなく眠りについたのだろう。そんなに体調が悪いのであれば書類なんか放って寝れば良かったのに。
「ったく……いつも休めって言ってるだろうが」
深くため息をついて、土方は眠っている海の横に胡座をかいて座った。暫く頭を抱えたあと、携帯を取り出してメールを打ち込んだ。
メールを送信してからほどなくして、近藤が申し訳なさそうに顔をのぞかせた。
「まだ眠ってるのか?」
「あぁ、気持ちよさそうに眠ってやがる」
「そうか。起きないうちにこれを全部持っていくとするか」
「あぁ。俺の部屋にでも置いといてくれ」
「何言ってんだ。俺も手伝うよ」
「それこそ何言ってんだ。近藤さんは次の護衛任務の件で忙しいだろ。俺が片しておくから置いといてくれ」
「しかしな……それで今度はトシが倒れたりしたら俺ァ、どうすりゃいいんだよ」
「程々にやるから大丈夫だ。心配しなくても、俺はこいつと違って自分の限界は分かってる」
「それならいいんだけどな。とりあえずトシの部屋に移動しておくけど、無理だと思ったらすぐに言えよ?」
「あぁ。わかった」
机の上にまとめといた書類を近藤は一枚残らず持って行った。未だに起きることの無い海の頭に優しく触れる。柔らかい髪質の触り心地につい口角が上がる。
海が目を覚まして土方の姿を見て、飛び起きるまでの間ずっと土方は海の頭を撫でていたとかなんとか。
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