第11幕
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「春雨の連中は大量の違法薬物を江戸に持ち込み売りさばいていた。攘夷党じゃなくても連中を許せんのは分かる。だが、問題はここからだ。違法薬物の密売に幕府の官僚が一枚かんでいたとのウワサがある。違法薬物の売買を円滑に行えるよう協力する代わりに、利益の一部を海賊から受け取っていたというものだ」
やはりそうだったか。
あの連中が堂々と違法薬物を振り撒いていられるのにはわけがある。幕府のやつらと犯罪組織による癒着だろう。そのためいくら海たちが検挙しようと動き回っても、寸でのところで捕まえられないわけだ。
幕府がやつらに手を貸しているのであれば、逃げることなど造作もないだろう。
「江戸に散らばる攘夷派浪士はウワサを聞きつけ、奸賊討つべしと暗殺を画策している。俺たちの出番だ!」
そう言って近藤は今回の仕事の細かい説明をし始めた。暗殺を未然に防ぐ為に幕府の高官の身辺警護を行うというもの。全員帯刀し、怪しい人物がいた場合は即刻、副長か近藤、もしくは一番隊の総悟か海に報告しろというもの。
『え、なんで俺?』
「お前は役職付きじゃねぇが、俺や総悟と同じ立場の人間だ。それに他の平隊士よりは状況に応じた行動ができるだろ」
『プレッシャーが重いな、お母さん』
「誰がお母さんだ!誰が!!」
「海、頼んだぞ」
『了解です』
「てめぇ、なんで近藤さんの時だけ素直になるんだよ!俺の時も素直に返事しやがれ!」
『…………』
「無視か!?てめぇは反抗期のガキか!」
「トシ、また話進まなくなっちゃうから。ほら、海拗ねてるから」
「拗ねてんじゃねぇよ!!!!」
「拗ねてる海さんも可愛いでさぁ」
『総悟、一度眼科に行った方がいいぞ。その眼球取り除いて洗ってもらえ。きっとスッキリするから』
「俺は海さんとスッキリしたいでさぁ」
『黙れクソガキ』
「今日はいつにもなく不機嫌ですねぇ」
『普通だろ。近藤さん、会議の途中で申し訳ないんだけど席を外しても構わないか?』
「どうした?うんこか?」
『違う。ちょっと体調が優れないから部屋で休みたい』
「大丈夫か?会議の方は心配するな。後でまとめたものをトシに送らせよう」
『お手数おかけしてすみません』
「気にする事はねぇよ。ほら、ゆっくり休んでおいで」
『それじゃあ、失礼します』
近藤と土方に頭を下げて会議室から退出する。土方がじとりとした目でこちらを睨むように見ていたのが、なんとも居心地が悪かった。きっと会議の途中で抜け出すなぞ失礼なやつだと思われたのだろう。
もうこの際なんと思われても構わない。
この痛みを我慢して無理矢理笑顔を作るくらいなら。
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