第10幕
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『よく言ったな、新八』
「海さん!」
『よっ。無事か?』
新八に向けて振り下ろされそうになっていた刃を刀で受け止めて振り払う。薙ぎ払われた天人は体勢を崩してその場に尻もちをついて唖然とした顔でこちらを凝視していた。
『……やっぱ違うな。適当に作ってもらったもんだから仕方ないか』
久しぶりに刀を振ってみたがなんとも使いづらい。己の機動力に合わせて軽くしてもらった刀。昔、帯刀していた刀に似せて作ってもらったのだが、所詮は偽物。
やはりあの刀でないと本領発揮、とまではいかないらしい。
刀身を鞘へと戻していたとき、新八がじっとこちらを見ていることに気づいた。どうしたんだと声をかけると、新八は引き攣った笑みを浮かべながら海の方を指差す。
「海さん……その格好はなんですか……」
『あぁ、変装。桂に渡されたもんでな』
「そ、そうですか……可愛らしいで『なんか言ったか?』い、いえ、なんでもありませんんんんん」
先程納めたばかりの刀を瞬時に取り出して、新八の首筋へと切っ先を向ける。その場から逃げ出そうとする新八に微笑みかけながら刃先を近づけた。
「おいおい、お前はなにやってんの!?」
『新八がいじめてきた』
「新八ィィィ!お前は海に何してんだァァァ」
「何もしてねぇよ!!海さんも誤解するようなこと言わないでください!!」
『新八が悪いんだろうが』
ふんっと鼻を鳴らして新八から顔を背ける。銀時に問い詰められている新八が助けを求めるようにこちらに手を伸ばしていたが、知らん振りを貫いた。
「海!」
『おお、神楽。大丈夫だったか?』
「銀ちゃんが助けてくれたから大丈夫ネ……なんでメイド服なんて着てるアルか?」
『大人の事情だよ』
「ふーん。海、かっこいいヨ!」
『そうか?ありがとな』
屈託なく笑う神楽の頭を優しく撫でる。
「僕の時と態度が全然違う!!」と隣で文句言ってる新八を放置して。
「海」
不意に銀時に声をかけられて緩んでいた気を引き締める。そろそろここから退散するのだろう。
『はいよ。好きに暴れて来いよ。こっちはこっちで何とかすっから』
「悪いな。海、怪我すんなよ」
『しねぇよ。それはこっちのセリフだ』
銀時は春雨の親玉を、桂は船内の敵の誘導を、そして海は神楽や新八の安全避難ルートの確保。
それは話し合わなくても勝手に個々がそうした方がいいだろうと自分たちで決めたこと。
『怪我、すんなよ』
「もう怪我してるけどね。これ以上怪我したら海くん泣いちゃいそうだから気をつけるとしますよ」
『泣きはしねぇよ』
「嘘つけ。さっき目が潤んでたの銀さん知ってるんだからね」
『最近ドライアイでな。目薬しないと目が乾いて仕方ねぇんだわ』
「はいはい。そういうことにしておきますよ」
『黙れ腐れ天パ』
軽口を言い合いながら互いに背を向ける。
「……2人のこと頼むな」
木刀を抜いて親玉と対面する銀時。
自分は神楽と新八を立たせ、ここから逃げる準備をすべく二人に声をかけた。
「行け!!」
『神楽、新八!行くぞ!』
銀時の声を背中で受けながら一気に駆け出す。
二人が心配そうに後ろにいる銀時を振り返るが、彼らの不安を消しさるように笑って大丈夫だと諭した。
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