第9幕
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ところ変わって、現在敵地近く。
海に浮かんでいる船の入口。
そこにいる見張りの天人の前に立つ3人の男?達。3人のうち2人は海賊のような服に身を包んでいた。
「だから、ウチはそういうの要らねえだって」
「つれねぇなぁ……俺たちも海賊になりてぇんだよ。連れてってくれよ、なぁ?ヅラ、海音」
「ヅラじゃない。キャプテンカツーラだ」
『なんで俺だけこんな格好……』
風が吹く度にひらりと舞うスカート。
足元のスッキリ感に慣れなくて、つい足を組んでしまう。桂に借りた黒の長いウィッグを被りいかにも女の子のような格好。顔にかかる髪を耳にかけて天人を見上げると、目が合った天人は頬を朱に染めた。
「うお……か、可愛いなぁ」
「……海音ちゃーん、ちょっと後ろに下がってようか」
『あ?お、おう』
天人の顔を見るや否や、銀時は眉間に皺を寄せて不機嫌そうに俺の腕を引いた。大人しく銀時の背後に隠れるようにして2人の話に耳を傾ける。
「俺たち幼いころから海賊になるのを夢見ていたワンパク坊主でさぁ。失われた秘宝ワンパークというのを探してるんだ。なっ?ヅラ」
「ヅラじゃない。キャプテンカツーラだ」
「知らねぇよ、勝手に探せ」
「んなこと言うなよ。俺、手がフックなんだよ。もう海賊になるかハンガーになるしかねぇんだよ」
「知らねぇよ。なんにでもなれるさお前なら。だからどっかいけよ。後ろの姉ちゃんだけ置いて」
天人が銀時の肩越しに俺を見る。その目は発情したものそのもので、それが自分に向けられているのだと認識した瞬間に悪寒で体が震えた。
思わず銀時の背中にすがりつくように引っ付くと、銀時と繋がれたままだった己の手が強く握られる。
「面接くらい受けさせてくれよ」
「ほーら、履歴書もあるぞ」
鼻の下を伸ばす天人の首に刀と木刀を突きつける2人。天人はなすすべなくその場に固まった。
「大丈夫か?海」
『やべぇ、寒気が止まらねぇ』
「そうだよな。あんな気持ち悪い天人にあんなふうに見られたら気持ち悪いよな。ほら、銀さんの胸に飛び込んでおいで。温かくしてあげるから」
『桂、その上着貸せ。この格好は寒い』
「え、無視?海くん無視?」
「む?私もこの上着を脱いでしまうと色々と見えてしまうんだがな」
そう言って上着をめくると、そこにはいくつもの爆弾が仕込まれているのが見え、引き攣った笑みを浮かべる。
確かに今から乗り込むのにそんなのが見えていたらすぐに捕まってしまうだろう。少しだけの我慢だからいいかと諦めて歩き出す俺に駆け寄ってくる足音。
「仕方ねぇな。ほら、俺の貸してやるから」
『うおっ……おい!怪我人がそんな薄着で動き回るなよ』
「ちゃんと自分の羽織持ってきてますー」
ふわりと甘い匂いが鼻腔を擽った後に頭に被せられる銀時の上着。怪我人が身体を冷やすなと注意し、上着を返そうとしたが、銀時はいつもの羽織に腕を通しているところだった。
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