第9幕
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『最近、屯所の方でも問題になってるもんだよこれ』
「巷で出回っている転生鄉と呼ばれる非合法薬物だ」
そう言って懐から桂が取り出したのは袋に入った白い粉。真選組で証拠として押収されたものの1部だ。
効能はかなり酷く、依存性も強い。使用した者の末路なんて見るも無残な状態と化す。
真選組でも手に余る問題だった。
「というかなんでお前はなんであんな所にいたんだ?」
「というか、あいつらは一体なんなんだ?」
『宇宙海賊春雨。銀河系で最大の規模を誇る犯罪シンジケートだよ。うちでも調べてはいるんだが、中々に厄介な奴らの集団でな。しっぽが出たかと思って捕まえに行ってももぬけの殻ってのが多い。多分……上も絡んでるんだろうな』
何度か捕まえられる機会はあったのだが、幾度もそれを回避されている。
きっと情報が漏れているのだろうと、真選組とその関係者以外には話すことなかれと箝口令を敷いたのだがそれでも逃げられた。
これはもう上の人間がこいつらを庇ってるとしか言いようがない。
「天人に侵された幕府の警察機構などアテにできん。我らの手でどうにかしようと思っていたのだが、貴様がそれほど追い詰められているくらいだ。よほどの強敵らしい」
『悪かったな、うちがアテに出来なくて』
「海が悪いのではない。海の周りの人間が使えないだけだ」
『俺一人で何とかなるような代物でもねぇよ』
「いや、お前ならやってくれると信じてるぞ」
『なにその過剰な期待。そういうことを言うから受験生の子たちがプレッシャーに押しつぶされて精神病んでいくんだろうが』
「お前はそんなにやわではないだろう」
『それがプレッシャーだって言ってんだよ!』
「あー、悪い。これなんの話だっけか?」
『「宇宙海賊春雨をどげんかせんといかんって話」』
「……お前らって変なところで息合うよな……」
呆れた顔で俺たちを見る銀時。俺たちの話を聞き終えた後に銀時は立ち上がって脱がされていた羽織を手に持つ。
『その怪我で動けると思ってんのか?』
「仲間がさらわれた。ほっとくわけにはいかねぇ」
「その体で勝てる相手と?」
「人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くがごとし。昔な、徳川田信秀というおっさんが言っていた言葉でな」
『あー……いや、違うだろ。それ絶対違うだろ』
「誰だ?そのミックス大名!家康公だ家康公!」
銀時の成績を思い返せば納得出来る言葉。
あぁ、大人になってもこいつは間違えて覚えていたのかと恥ずかしくなり頭を抱えた。
「最初に聞いた時は何を辛気くせぇことをなんて思ったが。なかなかどうして、年寄りの言うことはバカにできねぇな」
何かを思い出すような顔をする銀時。
きっと昔のことを思い出しているのだろう。
攘夷戦争のあの頃を。
仲間と戦い明け暮れた日々。たくさんの犠牲を生んだ割には、手に入るものなんて無かった。それでも自分が信じた道を行くために刀を振るった。
誰かを守るためにと。信じて。
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