第1幕
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「海さん、あれなんですかね」
じっと何かを見つめていたかと思えば、総悟は首を傾げながら指差す。その先を見てみると、空から何かが落ちてきているのが見えた。
『なんだあれ』
「さぁ?わかりやせんけど。またどっかの天人がやらかしたんじゃないですか?」
『毎度毎度お気楽なもんだな天人ってのは』
面倒事を起こすのは大抵、天人の方だ。人間の方もテロを起こしたりその他の犯罪をするのだが、天人はそれに比べものにならないくらい面倒なことになる。
人間であれば捕まえてそのまま牢屋に入れることが出来るのだが天人ではそうはいかない。国同士で交わした条項のせいで、捕まえることの出来ない天人もいるのだ。捕まえても一日と拘留出来ずに釈放される。その時の天人の憎たらしげな顔といったら。
出来ることならその場で斬り伏せたいくらいだ。
「あの船、海に落ちそうですね。どうします?行ってみますか?」
『俺たちが行ったところでだろ。それにもう他の奴らが急行してるみたいだしな』
聞こえてくるパトカーのサイレンの音。後ろから来ているパトカーに道を譲るべく車を端に寄せる。すれ違いざまに岡っ引きが片手を上げたので、海も片手を上げて返した。
「行ってみましょうよ。なんか面白そうですし」
『面白いか面白くないかで決めるな。このまま屯所に帰るぞ。やらなきゃいけないことが残ってる』
「真面目ですねぇ」
『お前が不真面目なだけだ』
部屋に置いてある書類の殆どは総悟のものだ。本人に突き返してもいいけど、そんな事をしたら確実に放置されるに違いない。そうなれば土方の仕事が増える。
自分は平隊士だから気にすることではない。役職持ちになればそれなりに責任も増え、やることも増えるのは分かっていたはずだ。それでも彼らはその道を選んでいる。
最初から分かっていることだ。それでも土方と近藤はそうすることにした。
その結果がこうなろうとも。
「海さん、あとで団子屋にでも行きやしょう」
『お前はもう少し周りを見ることを覚えた方がいい』
「なんです?突然」
『なんでもない』
このサボり魔のせいで自分らの仕事が倍になるだなんて……あの頃の土方は予想もしていなかっただろう。
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