第8幕
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『ハタ皇子が来日ねぇ』
朝食を食べながら食堂に設置されているテレビを何気なく見る。そこにはいつもの結野アナが画面に映っていた。ハタ皇子が呑気に動物園を回るとかっていう理由でまた地球へと来ているらしい。
「またこのバカ皇子来たんですね」
海の隣へとお盆を置いて座る総悟。同じようにテレビを見やれば、ハタ皇子を見て鼻で笑っていた。
『みたいだな。どうにもこいつだけは嫌いになれねぇんだよ』
「意外ですねぇ。海さんが天人を好きだなんて」
『天人が好きだとは一言も言ってない。こいつはなんだ……その、バカっぽさがツボにハマるというか』
なんと説明したらいいのかわからないが、とりあえず嫌いではない。好きでもないが。
テレビでハタ皇子が階段を転げ落ちていくのを黙って見つめる。
自分で滑って転がったように見えない落ち方につい口の端が上がってしまう。ここまで不憫な天人を見たことがない。
「そういえば海さん。土方さんがさっき探してましたぜ」
『土方が?』
「ええ。今日、仕事が入ったんでそれを手伝えと」
『書類が溜まってるからそれを先に終わらせたいんだが』
「書類なんかより大事な事だと思いますよ」
『お前、土方と一緒に動くのが嫌だから俺を引っ張りだそうとか思ってないか?』
「人聞きの悪いこと言わないでくだせぇ。俺は土方と同じ空気を吸ってるのも嫌です」
『そこまで嫌かよ』
どこまでが本音なのか分からないのが一番怖いと思う。
「ところで海さん」
『うん?』
「その量を1人で食うんですかい?」
『おう』
「……相変わらずの食べっぷりですねぇ」
ぱくりと唐揚げを口に含み咀嚼。いつもとあまり変わらない量が海の前に並んでいるのに総悟はゲッソリとした顔。
人より多く食べている自覚はある。それは昔から変わらないことだ。
一人前でお腹一杯になる隊士たちはとても燃費がいいんだと思う。自分はそれだけでは足りないから。
『これでも量減らした方だぞ』
流石に徹夜明けの身体で飯をかきこむのは辛い。土方から呼び出しがあるのにここでお腹いっぱいになってしまったら眠気で動けなくなってしまうだろう。
「これでですか……」
黙々と箸を進める海と打って変わって総悟の手は何故か止まる。
「目の前でそんなに食われたらこっちの方がお腹いっぱいになりますって……」
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