第7幕
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「てめぇ、早く抜けよ」
「抜く?ナニを?」
「刀を抜けっていってんだよ!てめぇのナニなんか聞いてねぇ!」
刀身を鞘から一向に抜かない事に腹を立てた男がこれでもかというくらい瞳孔をかっぴらいて怒鳴った。
あぁ、やだやだ。こんなのがお巡りさんなんて。
「やる気のねぇ、てめぇを斬ったところで目覚めが悪いんだよ。早く抜け!」
「まったく、この刀扱いづらいんだよ……」
言われるがままに鞘から刀身を出すと、陽の光を浴びた刀はキラリと輝いた。やはり普通の刀よりも薄く軽い。自分のやり方ではすぐにヒビが入るか折れてしまうだろう。
刀を抜くと男は嬉々として突っ込んできた。真選組がチンピラ警察と呼ばれているのがなんとなく分かった気がする。
これ以上長引かせるのも面倒だ。サクッと終わらせて病院へ行こう。下にいるであろう海を連れて。
男は銀時が持っていた手ぬぐいを斬り、自分はやつの刀を斬った。真っ二つになった刀を見て呆然している男をそのままにし、痛む傷を押さえて病院へ行こうと歩き出す。
「待て!てめぇ、情けでもかけたつもりか?」
「情けだ?そんなもんお前にかけるくらいならご飯にかけるわ。ケンカってのはよ、何か守るためにやるもんだろうが。お前が真選組守ろうとしたようによ」
「守るって……お前はなに守ったってんだ?」
「俺のルールだ。じゃあな」
ぽかんとしてしている男を放置して屋根から降りると、海が腕を組んで立っているのが見えた。
『悪い、付き合わせて』
「いいよ。どうしようもなかったんだろ?」
申し訳なさそうに目を伏せる海に苦笑し、俯いた頭をわしゃりと撫でた。
「これお前のだろ」
『よく使えたな』
「初めて使うわけじゃねぇからな。でも、一応確認しといて」
男の刀を斬った時にミシッと嫌な音を聞いた気がした。もしかしたらヒビが入っているかもしれない。
『銀時』
「うん?」
『その、さっきは……』
「なーに?何かあった?」
『さっきはありがとう』
言いづらそうにもごもごしつつも海はお礼の言葉を呟く。
「どういたしまして。それより病院一緒に来てくれない?」
『ん、わかった』
「それとちょっと散歩でもしようよ」
『怪我してるのに?』
「そんな酷くねぇから大丈夫だろ。家帰っても暇なんだよ。だから散歩付き合って」
久しぶりにゆっくりと話したい。そう付け足すと、海はきょとんとした顔をしてから笑った。
『そういえばちゃんと話してなかったもんな』
「海に会うタイミングでいつもトラブルに巻き込まれてるんだから仕方ねぇだろ」
『まるで俺がトラブルメーカーみたいな言い方じゃねぇか』
「海はトラブルを作るというか、トラブルを吸引してる方じゃない?」
『俺はダイソ○か』
「吸引力が変わらないって?」
『めんどくせぇやつじゃねぇか』
「いつものことじゃね?」
トラブルが起きた時は確実に海は巻き込まれている。それは今も昔も変わらないらしい。
『気をつけてはいるんだけど』
「海が気をつけてても周りが気をつけてねぇから無理ですー」
それに気をつけてはいると言っていても、海は最終的には首を突っ込んでしまう。きっと本人は分かっていないだろうけど。
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