第6幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
慌ただしく走る足音が廊下に響く。いつもなら走っている奴を捕まえて注意するのだが、今回は人数が多すぎる。屯所にいる殆どの隊士が何かを話しながらバタバタと走っていくのだ。
最初の一人二人には声をかけたが、今はもうしていない。言うのも面倒くさくなった。
彼らが騒いでいる理由はわからなくもない。
『昨日のあれか』
隊士たちが喚いているのは昨日の件。近藤が決闘をして負けたという話が屯所で広まっていた。これは運が悪かったとしか言えない。あの場にいたのが海だけなら良かったのだが、たまたまその場を通り掛かってしまった者がいた。
しかもそいつは一人ではなく、ビデオカメラを手にしているテレビスタッフを連れて見回りをしていたのだ。その結果、決闘に負けて倒れ伏していた近藤がカメラに記録されてしまった。
記録されたものはすぐに回収されはずだ。その場に居合わせてしまった土方がその場でカメラを叩き壊したから。だから隊士たちが決闘のことを知ることは無いのだが、何故か彼らの間で噂として広まっていた。
『どっかで話が漏れたか。箝口令なんか敷かなかったからな』
街中で行われた決闘は民衆たちにも見られていた。あそこで見物していた人達が笑い話として広めたということも考えられる。
また真選組の評判が落ちると思ったらため息が止まらない。
『やめろと言ったのに。近藤さんが勝手にやったんだからな』
元々真選組の評判はそんなに良いものではなかった。街を守るための警察として特別に作られたものだったが、街の人たちはお飾りの警察として見られている。それもこれも全て隊士らの言動のせいだ。
主に副長である土方や一番隊隊長の総悟のせいである。警察というより、コンビニの前で座り込んでいるヤンキーのようだ。
そのためか最近では"チンピラ警察"と呼ばれることも多くなった。そんなあだ名のせいで怖がられることも多々あり、隊服を見た人達はそそくさと逃げていく。
少しでもイメージアップをと思って海が色々と手を尽くしたのだが、全てあの二人にぶち壊された。
そして今回は局長である近藤が真選組の名を落としているではないか。
『もう無理だろ。これは』
こればっかしは庇いようがない。噂なんてものはすぐに薄れていくものだ。民衆たちの興味がなくなるまでは後ろ指さされて笑われるかもしれないが、近藤には耐えてもらおう。
『その前にアイツらが変なことしなければだけど』
問題は隊士たちだ。局長を負かした相手を炙り出すとか言わなければいいのだが。
.