第5幕
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「海」
俯いていた頭をゆっくりと上げると、銀時と目が合った。神妙な面持ちで目の前にいる銀時を見遣れば頭の上にぽんっと手が乗る。その手は乱暴に海の頭を撫で回した。
「あんま深く考えんな。昔は昔だ」
『そうだな。いつかまた会えるもんな』
「……おう」
そうだ。また会えるだろう。
銀時や桂に会えたように、あの二人にも会える日が来るだろう。その日を待ち続ければいい。
晋助が今の海を見てなんというかは別として。
「さて、そろそろ行くとしますか」
『程々にしてくれよ?』
「そんなに銀さんは強くないですぅー。海くんよりも弱弱だから勝てないですぅー」
『ほざけ。白夜叉が何を言うか』
「閃光には負けるっての」
一緒に万事屋を出て決闘場所へと向かう。
懐かしい二つ名を言ってからかい合うのは海たちだから出来ること。この名称も今では廃れ、知っている者も少ないだろう。
海や銀時が攘夷戦争経験者だということも誰も知らないはず。
夕日が差す頃、決闘場所へとついた。橋の上には野次馬が沢山いてその中で神楽と新八が観戦のお供にとジュースやお菓子を売っていた。その姿に苦笑いを浮かべながら海は少し離れた所で静観する。
「やっときたか!ん?海も来たのか!」
『近藤さんが怪我したら誰が手当するんだよ。そのための俺でしょうが』
「はっはっはっ、そうだな!」
『怪我しないのが一番だけどな』
二人の決闘を見守らなくてはならない。
例え、馬鹿げた内容のものだったとしても真選組局長が申し出たものだ。誰かが始終、見ておく必要がある。変に噂を立てられないように。
「まったく、遅すぎるぞ!大の方か?」
「ヒーローが大なんてするわけねぇだろう!糖の方だ」
キリッとした顔で答える銀時。
いや、お前トイレに篭ってただろ。なんか唸りながら篭ってただろうが。
「血糖値の高いヒーローなんて聞いたことねぇよ」
「いいんだよ。ヒーローだってたまには糖分取りたいんだよ」
ふと銀時はこちらへと目を向ける。にんまりとした顔で海を見つめてから、近藤の方へと向き直った。
そして始まった決闘は銀時の勝利で幕を閉じた。かなりのズルを使ってだが。
「海!帰るアルよ!あんなやつ置いていっていいアル!」
「海さん!帰りましょう!」
『帰りたいのは山々なんだけど、あの人放っては帰れねぇんだわ』
子供二人に先に帰りなさいと声をかけ、地面に寝そべっている近藤の元へと駆け寄る。
『まったく……程々にと言ったけど、こんなやり方あるかよ。全部、銀時が悪いみたいになってるじゃねぇか』
神楽と新八にボコボコにされた銀時は未だにゴロゴロと地面を転がり悶えている。丸く収めるのにこうした方がいいという銀時なりの考え。ほんと、あいつらしいというかなんというか。
『ばかだなぁ』
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