第28幕
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「ばーぶ」
「どーだ?うめぇか?」
片方はいちご牛乳、もう片方は哺乳瓶を手に持ちベンチに座る。
海は銀時と赤ん坊に背を向けた状態で背もたれに寄りかかっていた。
「なふっ」
「なにぃ?ミルクじゃ足りねぇってか?オイオイ、百年早ぇよ。酒はいろんな所に毛が生えてから飲むもんだ」
「…………」
「……そうさな。お前がもうちょっと大人になったら。そん時まだ俺のこと覚えてたら……また会いに来い。そん時ゃ酒でもなんでもいくらでも付き合うよ」
「すぷん」
「あぁ、約束だ。侍は果たせねぇ約束はしないんだ。精々、いっぱい笑って、いっぱい泣いて、さっさと大人になるこった。待ってるぜ」
そう言って銀時はベンチから腰を上げて歩き出す。
『……元気でな。勘七郎』
海は赤ん坊の頭を撫でてから銀時の後を追った。赤ん坊は海と銀時の後ろ姿をじっと見つめ、大きな声で泣いた。
「まったく……騒がしくてかなわねぇな」
『でも、嫌いじゃないだろ?』
「……まぁな」
『ふっ……お前らしいな』
「そんな海くんは寂しそうですけどー?」
『んなことねぇよ。これから屯所帰ったら書類が溜まってるのかと思うと絶望しかない』
「お、お疲れ様……」
『はぁ……総悟が仕事してくれればいいんだけどな』
「お前が一言かければ動きそうな気がするけどな。まぁ、無理すんなよ」
ぽんっと肩に手を置かれる。
それをじっと見つめる海。銀時はまた蹴られるか?と身構えるが、待てども海の足は飛んでこない。
『なぁ。俺にとっての家族は銀時と晋助と桂なんだよ』
「うん?うん、いきなりどうした?」
『……突然消えたりするなよな?』
「海?」
月夜の中で儚げに揺れる海の瞳。銀時に縋るような表情を浮かべる海に銀時は手を伸ばす。
「言ったろ?俺はお前を何がなんでも守るって」
『…………うん』
今にも消え入りそうな海を抱きしめる銀時。その背中へとゆっくりと腕を回す海。
「なに?心配しちゃったの?俺たちがいなくなるかもって」
『別に。もう離せ、暑苦しい』
海は銀時の足を踏んずけて、腕の中から抜け出し、銀時を置いて歩き出す海。
『俺は置いていかないから』
「……なんかフラグ立った気がする……」
ぼそりと呟いた銀時の言葉は海の耳には入らず消える。
海の背中をじっと見つめる銀時。
この時感じた胸騒ぎが、後になって後悔へと変わるのは今はまだ知らない。
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